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【社会】

<ラグビーW杯>福岡疾走、自らのゴールへ 最後のW杯で逆転トライ 次は医師の道

日本−アイルランド 後半、パスカットから攻め上がる福岡選手(左)=28日、静岡スタジアムで

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 二大会連続の「ジャイアントキリング(大番狂わせ)」を成し遂げた。二十八日、静岡県袋井市の静岡スタジアムで行われたラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会一次リーグA組第二戦で、優勝候補のアイルランドを破った日本代表。四年前の南アフリカ戦に続く強豪からの歴史的勝利に、選手は自信を深め、ファンは喜び、世界中が驚いた。

 スタジアムの視線を一身に集めてインゴールに飛び込んだ。後半から途中出場し、逆転トライを決めた福岡堅樹選手(27)=パナソニック。医師になるため、W杯は今大会が最後と決めている。大会直前のけがから復帰し、「自分らしい仕事ができた」と破顔した。

 祖父が内科医、父が歯科医師の家系。幼いころから医師に憧れた。福岡高三年時には医学部を受験したが不合格。一年後、筑波大情報学群に入学してからはラグビーに専念してきたが、医師になる夢も胸に宿し続けてきた。医学部を再受験するため、競技の区切りにと考えたのがW杯と七人制の東京五輪。「自分が後悔しない道。全てを出し切ったと言える大会にしたい」。その思いで大舞台への準備を進めてきた。

 悲劇が襲ったのは、W杯前最後の試合だった今月六日の南アフリカ戦。開始直後に右脚ふくらはぎを痛め途中交代した。顔面蒼白(そうはく)になるほどショックは大きかった。ロシアとの開幕戦を回避し、「なんとか切り替えて間に合うように」と懸命なリハビリを続けた。

 この試合も当初はベンチ外。トゥポウ選手(コカ・コーラ)の負傷で試合当日にメンバー入りを言われた。突然の出番にも「ここでチャンスをもらい、自分らしいパフォーマンスを出す」と覚悟を決めた。後半18分に逆転トライ。終盤間際にはインターセプトから相手のインゴール目前に迫った。「まだ百パーセントではない」と首を振るが、余力を残すつもりはない。

 前回大会は唯一敗れたスコットランド戦のみの出場。勝利の瞬間をピッチで仲間と分かち合い、「たくさんの犠牲の上にこの結果が出てきた」と喜んだ。「まだ先がある。これが最後のトライとならないように、最高のトライを増やしたい」と意気軒高に語った。 (平井良信)

◆スタンド興奮「このまま決勝へ」

アイルランドに逆転勝利し、喜び合うファン

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 日本が優勝候補のアイルランドを撃破。約4万7千人の観衆で埋まった静岡スタジアム(静岡県袋井市)は、大金星に拍手と歓声がやむことはなかった。

 後半、途中出場の福岡堅樹のトライで逆転すると、ファンは跳びはね、ハイタッチで喜んだ。

 水戸市の会社員磯崎祐子さん(56)は桜のジャージー姿で応援。「こんな日が来るなんて。信じられない。このまま決勝まで進んでほしい」。東京都目黒区の主婦藤森厚子さん(46)は座席に座り、ハンカチで涙を拭った。「諦めない気持ちがプレーから伝わって来た。感動しました」

 アイルランド出身でロンドンに住むリアム・マクボイさん(29)は、緑のウエアを身に着けて応援。「今まで見た試合で一番、スタジアムの雰囲気が良かった。日本が好きになった」と選手をたたえた。

 福岡は試合後、ツイッターに「奇跡なんかじゃない!」と記した。

◆日本の金星に「最大の衝撃」 アイルランド報道

 【ロンドン=藤沢有哉】ラグビーW杯で、世界屈指の強豪アイルランドを破った日本。アイルランド、英メディアは「日本はW杯の歴史で最大の衝撃の一つを成し遂げた」などと報じた。

 アイルランドの公共放送RTE(電子版)は「日本が素晴らしい衝撃をもぎ取ると、アイルランドは意気消沈した」と報道。日本の素早い攻撃や粘り強い守備の他、アイルランドのチームは「サウナのようなスタジアムに苦労した」と、高湿度に苦しんだと伝えた。

 英BBC放送(同)は二〇一五年の前回大会で南アフリカに勝った日本の番狂わせを振り返りつつ、「世界中にとどろくラグビーの結果は、四年前の日本の勝利以来だ」と強調。英紙ガーディアン(同)は「注目を浴びることを楽しんだ日本は最高に活気に満ち、独創的だった」とたたえた。

 

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