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【社会】

<消費税8%から10%>戸越銀座ルポ 迫る増税、焦る商店街

軽減税率が適用される「持ち帰り商品」=東京都品川区の戸越銀座商店街で

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 消費税の増税まであと2日と迫った。軽減税率やキャッシュレス・ポイント還元などの仕組みが複雑で、国民の理解はなかなか進まない。東西約1.3キロに約400店舗が連なり、関東地方有数の長さを誇る戸越銀座商店街(東京都品川区)を歩き、商店主や買い物客の声を聞いた。 (市川千晴)

 鶏料理の総菜専門店「鶏&デリ」では、店長の宮川秀雄さん(52)が唐揚げを手際良く揚げる。悩みの種は軽減税率。持ち帰りは8%、店内飲食は10%になる。

 「持ち帰ると言ったお客さんが『揚げたてだから、やっぱり食べたい』と店内で食べ始めても、追加で2%分の代金は請求できないでしょ」と苦笑いする。

 二種類の税率に対応する約二十万円のレジは二十六日に納入されたばかりで、税率の設定が終わっていない。「メーカーに設定費用を約二十万円請求されたが、そんな余裕はない。年中無休だから閉店後に約百種類のメニューごとに税率を自分で入力し、店内メニューも作り直さないと」

 商店街では、眼鏡・宝飾品店を営む亀井哲郎さん(55)が専務理事の品川区商店街連合会が、ポイント還元にも対応できるよう店舗のキャッシュレス対応支援の音頭を取り、今月から二社のクレジットカード会社と連携。キャッシュレス対応の店は約七割に達した。

 「春先から『楽天ペイ』や『ペイペイ』などキャッシュレス決済各社の電話や訪問のローラー作戦で、商店主から悲鳴が上がった」と亀井さん。「経営者の二割ほどは高齢者。お客さまも高齢になるほど現金で買い物をするが、利用したいという声が増えているので、店主の手助けが必要だった」という。

 友人らと買い物に来た川崎市高津区の主婦喜多美枝さん(43)は、現金派だったがキャッシュレス派に。「現金よりもポイント還元率が良い上に、現金が当たるくじもあるのでうまく使って増税を乗り切りたい」と期待を寄せる。

 一方、品川区の会社員の女性(64)は「セブンペイの不正アクセス問題があったので情報流出などが不安。年金生活で収入は増えないから、少額でも増税の影響は大きい。セールを狙って買い物します」と話す。

 おでんコロッケが名物の「後藤蒲鉾店」ではレジを買い替え、キャッシュレス決済も五月に導入した。後藤学社長(58)は「百円程度の商品ばかりだが、今は店側の手数料が無料なので導入した。でも払う時期が来たら、店の利益が目減りするから継続するかどうかは悩む。個人事業主には数%の手数料でもハードルが高いよ」と本音をのぞかせた。

 創業五十三年の模型店は消費税が8%へ増税された際、税込み価格を5%のまま据え置き、今後も当面は継続する。キャッシュレス決済の導入を勧める各社の営業攻勢を受けたが、提出する書類が多いなど手続きの煩雑さから見送った。三代目の店主(51)は「塗料などは手ごろな値段だから、買いに来てくれると思う。ネットの時代だからこそ直接店に来て現金で買ってくれるお客さんを大切にしたい」と話す。

 亀井さんは「レジの補助や買い物客などのポイント還元は歓迎するが、今回は駆け込み需要も手応えがない。来月は反動で消費が冷え込むのは確実だから、増税しないのが一番だよ」とこぼした。

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