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【社会】

停電・断水 支え合い 被災の千葉3つのチカラ

 千葉県を中心に停電や断水、家屋被害などを引き起こした台風15号が通過してから三週間。甚大な被害を受けた被災現場では、多くの人々が互いを思い、手を携えて苦難を乗り切ろうとしている。被災地で記者が出会った「支え合う力」を紹介する。

◆[脚力]競輪選手 人力給油1800リットル

 停電で電動ポンプが使えず、休業するガソリンスタンドが相次ぐ中、千葉県君津市北子安のガソリンスタンド「一駒(ひとこま)」は、なんとか給油を再開しようと、自転車型の非常用装置を急きょ購入。ペダルをこぐとポンプが作動し、電力を使わずに給油できる装置には、競輪のトップ選手の脚も大活躍した。

 二十リットルまでの制限販売で供給を続けたが、同店従業員の鈴木一弘さん(37)が「数人分でばててしまった」という重労働。その人力給油の助っ人を買って出たのが、競輪選手でトップクラスのS級に所属する山賀雅仁さん(37)だ。

 山賀さんは同県立天羽高校出身で、鈴木さんの同級生。十一日午前に駆けつけた山賀さんは、夕方までペダルをこぎ、百数十人に計千八百リットルを給油した。「さすが競輪選手。本当に助かったし、感謝してもしきれない」と鈴木さんは話す。 (山口登史)

ペダルをこいで給油する山賀雅仁選手=千葉県君津市で(鈴木一弘さん提供)

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◆[協力]貯水槽枯渇 階段で水を高層へ

 千葉県南房総市では停電が続く中、十二階建てマンションの住民たちが、高層階に住む高齢者に水や救援物資を届けるため、何度も階段を駆け上がっていた。

 貯水槽の水が尽きたのは四日目。給水などの支援が来る気配はなく、「このままではまずい」と焦った住民の女性(42)がフェイスブックでSOSを発した。その日のうちに県内外の人々が水や電池などの救援物資をマンションに届けてくれた。東日本大震災や熊本地震の被災者もいたという。

 停電や断水が復旧したのは台風から約一週間後。その間、住民らは高齢者宅も往復した。女性が担当したのは九階の高齢者宅二軒。毎日のように水を入れたバケツや救援物資などを運んだ。

 女性らはマンションの外にも手助けの輪を広げ、停電復旧後も、困っていた高齢者宅に手元の物資を届けた。女性は「自分が被災して助けられたからこそ、困ってる人に届けなければと感じた」と振り返る。 (太田理英子)

◆[尽力]支援感謝の張り紙400枚

 「○○様 飲料水1箱 ありがとうございます」。千葉県君津市役所本庁舎の正面玄関の壁はこんな張り紙で埋め尽くされている。支援物資を届けてくれた個人・団体に対する感謝の言葉をつづったもので、その数は現在、約四百枚。

 市秘書課によると、石井宏子市長が「お世話になった方々の名前をきちんと紹介したい」と発案。職員がB4用紙に手書きし、十三日から掲示を始めた。支援者の名前や、団体、企業名とともに、ミルクやトイレットペーパーなど具体的な提供物資を紹介。一人一人に「ありがとうございます」と感謝を添えた。

 訪れた市民は、びっしり並んだ張り紙の前で「すごい数だねえ」。支援の多さに改めて驚いていた。 (山田雄一郎)

君津市役所正面入り口に掲示された感謝の張り紙

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