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【社会】

曲がらないストロー、実は困ってます 障害者や高齢者にはプラ製が重宝

廃止が進むプラ製ストローだが、体の不自由な人たちには曲がる点が重宝されている

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 プラスチックごみの環境汚染を防ごうと、飲食店などでプラスチック製ストローを廃止する動きが広がっている。ところが障害者や高齢者からは曲がるプラ製ストローが使いやすいという声が出ている。最近にぎやかなプラごみ対策。ストローを減らせば済むものか。(中山岳)

◆プラに替わって紙や木に

 コンビニのセブン―イレブン・ジャパンは八月から高知県の約四十店で、植物由来の素材でできたストローを試験的に導入した。四国の約三百五十店ではアイスコーヒーのフタに飲み口を付け、プラ製ストローを無くした。「塚田農場」などの居酒屋を展開するエー・ピーカンパニーも七月から順次、プラ製ストローを廃止し、紙製ストローに切り替えている。

高知県のセブン―イレブンで使っている植物由来のストロー

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 こんな動きが昨年から飲食店やホテルで相次いでいる。代わりに増えているのが紙や木、金属製などの代替ストローだ。

 プラ製ストローが嫌われるのは五ミリ以下のマイクロプラスチック(MP)問題の一因だからだ。MPは、プラごみが海に流出して波や紫外線で砕けてできる。魚介などの生態系に悪影響を及ぼすとされている。

 ところが、プラ製ストローが全てなくなると困る人がいる。脳性まひの子どもとその親らでつくるNPO法人「かるがもCPキッズ」の江利川ちひろ代表理事は「体の不自由な子どもには軟らかい使い捨てストローが必要」と話す。

◆紙製で唇を切る患者も…

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 多くの代替品と違い、プラ製ストローは曲げることができる。体を思うように動かしたり、止めたりするのが難しい人は重宝する。江利川さんは「代替品が使いやすく改良されればいい」と期待する。ただ、今のところ代替品には、会員から「金属ストローは硬くて子どもが嫌がる」「マイストローは衛生面が心配」という声が出ている。

 茨城県の医療従事者の男性(40)も「脊髄損傷の患者や寝たきりのお年寄りには、プラ製ストローが飲みやすい場合もある」。紙製ストローは、唇が乾燥している患者が使うと口を切ることもあるそうだ。

 そもそも日本のプラごみの約七割は焼却されている。プラ製ストローを減らせば、本当に海洋汚染を防げるのか。

◆プラ製容器や個別包装の削減も必要

 大阪商業大の原田禎夫准教授(公共経済学)は「河川や海のごみには、プラ製ストローも少なくない。回収して焼却すれば二酸化炭素が出るので、燃やせばいいわけでもない。プラ製ストローを必要とする人が使う量はごく一部。その分を残しても、プラごみ削減と両立できる」との見方を示す。

 さらに原田氏は「新素材の代替品が話題になりがちだが、当たり前のように使われているプラ製容器が本当に必要か、議論が進んでいない」と指摘する。

 日本は一人当たりの使い捨てプラごみの排出量が米国に次ぎ世界で二番目に多い。食品トレーや容器包装に使うプラ製品を減らすことも必要だ。それなのに動きは鈍いと原田氏は言う。

 日本自然保護協会の志村智子保護部長は「プラ製ストロー削減はやった方がいい。ただ、それだけでは問題は解決しない。プラ製品の回収・リサイクルを進めることに加え、食品の個別包装も見直すべきだ。石油由来の素材でない包装への置き換えも求められる」と訴える。

(9月24日朝刊『特報面』に掲載)

 

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