東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

“聴く”ことあきらめないで つのだ☆ひろさん「耳の不自由な人に音楽を」

「耳の不自由な人にも音楽を楽しんでほしい」と話すつのだ☆ひろさん=東京都文京区で(坂本亜由理撮影)

写真

 耳の不自由な人にも質の良い音楽を楽しんでほしい−。そんな願いから、歌手でドラマーのつのだ☆ひろさん(70)=東京都文京区=が、聴覚障害の子どもや難聴のお年寄りらに向けた音楽教室やイベントの開催に乗り出す。特殊な骨伝導ヘッドホンを使った試みで、「音楽を聴くことをあきらめていた人たちに、その素晴らしさを伝えたい」と意気込んでいる。 (小倉貞俊)

 半世紀以上にわたって音楽活動をしているつのださん。二〇〇五年には文京区西片で、幅広い世代が対象の音楽学校を開き、五百人以上を指導してきた。障害のある子どもも受け入れ、それぞれの個性に合わせて寄り添う。音楽大学に進んだ発達障害の生徒もいる。

 聴覚障害者のための音楽を模索し始めたのは十年ほど前。「趣味の多様化で音楽も複雑になり、質の低いものも増えてきた」と痛感。「健聴者は慣らされてしまっているが、耳が遠いお年寄りには再び、耳が不自由な子どもたちには初めて、『本物の音楽』に触れてもらいたい」と考えるようになった。

 着目したのは、音を振動に変え、鼓膜でなく骨を通して音を感じる「骨伝導」の仕組みの補聴器だ。ただ、症状の重い難聴や、内耳の機能に問題のある感音性難聴の人は、うまく音楽を聴くことができなかった。

 そうした中、都内の企業が開発した高精度の骨伝導ヘッドホンの存在を知り、重い症状でもきれいに音が聴ける効果を確認。数台を入手できた。現在は生産されておらず、低価格で量産に取り組んでくれる企業との交渉を検討している。

 音楽教室は、来春から生徒を募集したい考えで、幼児から二十二歳までは無料の予定。今は試験的に、近くの聴覚障害特別支援学校の生徒や高齢者福祉施設の入所者に、骨伝導ヘッドホンの音を試してもらうなど、準備を進めている。

 「思い出の曲を聴いた、耳の遠い認知症の人が、脳の活性化で昔を思い出すこともある。音楽を知らなかった子どもはより豊かな情感を得られ、生きる力になるはずだ」とつのださん。「音楽を通じた社会貢献にもなれば」と笑顔を見せる。

 七、八の両日には、東京国際フォーラム(千代田区)で開催される被災地応援イベント「“よい仕事おこし”フェア」にブースを出展。骨伝導ヘッドホンを使い、聴覚障害者も音楽を楽しめる催しを披露する。

<つのだ・ひろ> 1949年、福島県塙町生まれ、本名・角田博民。中学時代にドラムを始め、高校でプロデビュー。歌手、ドラマー、作詞家、作曲家など幅広く活躍し、自身の代表曲「メリー・ジェーン」のほか、提供した楽曲も数多い。東日本大震災以降、各地のチャリティーイベントでのステージ出演や、被災地の小学校でのボランティア指導など、音楽を通じた復興応援に取り組んでいる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報