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【社会】

首都圏 濁流猛威 道路崩れ車転落、母娘死亡 

道路が崩れて軽乗用車が川に転落した現場=13日、相模原市緑区で

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 首都圏を直撃し、東日本を縦断した台風19号。直撃から一夜明けた十三日、各地で河川の氾濫により住宅街などに濁った水が大量に流れ込み、洪水や土砂崩れで多くの犠牲者が出るなど、被害が次々に明るみに出た。復旧までどのぐらい時間を要するのか。被災者らの不安は加速している。

◆相模原 父と息子不明

 相模原市緑区では、川沿いの道路が崩れ、家族四人が乗っていたとみられる軽乗用車が、車ごと川に流された。母親(39)と小学五年の長女(11)は十三日午前、約一・六キロ下流の中州で、遺体で見つかった。父親(49)と小学二年の長男(8つ)は依然、行方が分かっていない。父親の弟(47)は「仲の良い家族で兄は子煩悩だった。事故が信じられない」と目を潤ませた。

 四人は十二日夜、同区青山の串川沿いの道路から車ごと転落したとみられる。対岸にある自宅前で転落する様子を目撃した門倉勇さん(74)は「串川は相当な水位があり、勢いよく流れていた。車は道路に止まっていたが、しばらくして道路ごと沈み込むように川に流されていった」と語った。

 当時、串川は氾濫危険水位に達しており、流域に避難指示が出されていた。弟によると、現場近くに母親の実家があり、「家族四人で様子を見に行ったのではないか」と話した。警察と消防は、父子の捜索を続けている。 (曽田晋太郎)

◆川崎・高津 1階浸水で男性死亡 低地のマンション住民

 多摩川に合流する直前の支流・平瀬川の氾濫で浸水したマンション一階で暮らす六十代男性が死亡した川崎市高津区溝口の現場は、低地の住宅街だった。隣のマンションに住む会社員男性(40)は、押し寄せた水の恐怖を「あっという間だった」と振り返った。

 この男性によると、「普段はくるぶしほど」という平瀬川の水量は十二日午後七時すぎ、堤防を越えるまで三十センチほどの高さに迫っていた。警察や消防による救助作業も見守った男性は、十三日午前二時半すぎに水難救助隊に引き上げられる被害男性の姿を目の当たりにした。「こっちのマンションの一階住人は全員が避難して助かったのに…。残念です」と唇をかんだ。

 市によると、現場は平瀬川や多摩川があふれると水がたまる場所で二〇〇七年にも台風で二十五軒が浸水した。付近の住民によると、同地区では十二日午後三時台から、近くの中学校へ避難を勧告する防災アナウンスが何度も流れていたという。  (安田栄治、石川修巳、大平樹)

◆埼玉・川越 特養124人が一時孤立

 埼玉県川越市では、市内を流れる越辺(おっぺ)川の氾濫で特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」の利用者と職員計百二十四人が一時取り残された。消防などがボートで救助活動をし、十三日午後五時すぎには全員が近くの小学校へ避難した。川越地区消防局によると、けが人はいなかった。

 「水が迫っています」。同日午前一時半ごろ、平屋の施設で見回りをしていた男性職員(35)が、廊下が水浸しになっていくのを確認し、寝ていた他の職員を起こした。「十分もしないうちにどんどん水かさが増し、慌てて隣の二階建て施設に利用者を車椅子で誘導した」という。

 職員によると、同施設は、平屋二棟と二階建て一棟の計三棟。川からあふれ出た水は、みるみる平屋二棟をのみ込んだ。停電してエレベーターも使えなくなる中、職員が抱えたり、タオルケットをベッドのようにしたりして利用者を運んだ。全員の避難が完了したのは午前四時ごろ。マットを敷いて休みながら救助を待ち、翌朝、ボートで救助された利用者は近くの小学校へ。到着を待っていた家族と再会し「怖かった」と口にした人もいたという。

 入所者の男性(98)は、様子を見に訪れた六十代の娘に「早く帰りたい」とひと言。娘は「朝から施設に電話が通じず、ニュースで浸水を知った。けがもなく、無事で良かった」とほっとした様子だった。

 渡辺圭司施設長(57)は「毎年、水害対策の訓練をしていて、職員がいつも通り動いてくれた」と振り返った。また、以前は平屋しかなかったが、二十年ほど前に床上八十六センチの水害があり、今回避難した二階建ての建物を建てたという。

 小学校に避難した利用者は、職員が受け入れ可能な高齢者施設を確認し、次々と移動した。(浅野有紀、寺本康弘、中里宏)

ボート(手前)による救助活動が行われた特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」周辺=13日午後0時20分、埼玉県川越市で、本社ヘリ「あさづる」から

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