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【社会】

台風19号 収穫前 リンゴ悲し 「何から手を付ければ」 長野・千曲川

押し流された車と泥水が残るリンゴ農園=14日、長野市で

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 車があちこちに転がり、泥水の中を進むと浮いたリンゴが長靴に当たった。千曲川の堤防が決壊し、甚大な被害を受けた長野市。水が引いた地域では住民らが片付けに追われる一方、陸上自衛隊は十五日も、人命救助や行方不明者の捜索に当たった。「一体何から手を付ければ…」。変わり果てた街の姿に多くの人が途方に暮れていた。

 決壊した堤防のすぐそばの穂保(ほやす)地区は、住宅とリンゴ畑が広がる。濁流でなぎ倒された電柱、基礎部分だけしか残っていない家屋。大きな水たまりでは小魚の群れが泳ぎ、ほのかに赤く色づいた収穫前のリンゴが泥水の中にいくつも浮かぶ。どこからか流れてきた車が突っ込んでいるリンゴ畑もあった。

 「ほとんど泥をかぶった」。自宅一階が浸水した山口隆男さん(78)は、汚れた家具を横目に諦め顔。関茂男さん(85)は「大きな堤防なので絶対に大丈夫だと思っていた。孫に無理やり避難させられて良かった」と話した。

 冠水が続いた国道沿いの赤沼地区。「おじいちゃん、まだ家にいるんだって」。避難できていない一人暮らしの高齢者がいるとの知らせで駆け付けた警察の救命ボートに道案内の住民が乗り込み、狭い路地へと救出に向かった。

 雨が次第に強さを増し、不安げに見守る人たちに容赦なく降り注ぐ。しばらくして、毛布にくるまれた男性を乗せたボートが戻ってくると、安堵(あんど)の声と拍手が上がった。

 救助されたのは、停電でテレビが見られなかったという深瀬良平さん(92)。水没した街並みを目の当たりにし「こんなことになっているとは」と絶句した。

 中古車店経営原俊樹さん(57)が店の様子を見ようと、水に足を取られながら向かっていた。近づくにつれ「見たくないなあ」とため息が漏れる。泥をかぶった車を見て「撃沈だわ。全滅」と立ち尽くした。

 

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