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【社会】

台風19号、停電 介護・医療直撃 茨城・大子町

自家発電機を動かし、利用者のたん吸引をする看護師=16日、茨城県大子町で

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 台風19号による河川氾濫に見舞われた茨城県の被災地は、高齢者施設が停電のため厳しい運営を強いられ、医療機関にも影響が生じている。最も多くの死者、行方不明者が出た福島県では、家族を失った遺族が悲痛な思いを語った。

 台風19号で久慈川などが氾濫し、一人が死亡し広範囲で浸水被害があった茨城県大子(だいご)町。久慈川の支流から約百メートル離れた介護老人保健施設「やすらぎ」の安達栄治郎施設長(69)は「幸いにして犠牲者は出なかったが、出てもおかしくない状況だった」と振り返る。

 施設では約九十人が生活し、氾濫の危険性があるため十二日午後二時ごろから、一階の利用者三十七人を一時間半かけて二階に移動させた。

 自宅にいた益子豊子看護師長(61)は十三日午前零時ごろ、施設に向かった。「どこも道路が冠水し、施設の電気も消えていた」。周囲は胸まで浸水し、なんとか施設にたどりついても、停電のため、たんの吸引器は動かない。吸引しなければ、入所者の命に関わる。懐中電灯を片手に、手動で吸引などに当たった。

 今も停電し、復旧に約一週間かかる見込み。東京電力から自家発電機を借りて、たん吸引をしている。エレベーターが動かせないため利用者の移動は困難で、入所者に帰宅も勧めたが、住み慣れた施設に残ることを希望したという。安達さんは「たん吸引も十分ではなく、あと数日もすればインフルエンザが広まり始める可能性がある」と、ケアに細心の注意を払う。

 医療機関も危機的だ。町健康増進課の見越信子課長補佐によると、町内の六医療機関のうち五つで床上浸水。診察できる病院もあるが、いずれも復旧のめどは立っていない。もともと、深刻な医師不足に台風が追い打ちを掛けた。

 町の保内郷(ほないごう)メディカルクリニックの桜山拓雄院長(73)は「エックス線やコンピューター断層撮影(CT)の機械がすべて使えなくなった」と話す。パソコンも被害に遭ったといい「一番頭が痛いのは、患者のデータを失ったことだ」と嘆いた。 (水谷エリナ)

 

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