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【社会】

台風19号 貴重な絵画浸水 川崎の美術館、26万点収蔵

浸水して散乱した収蔵室

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 台風19号の影響で、川崎市中原区の博物館兼美術館「川崎市市民ミュージアム」の収蔵庫が浸水した。市が十八日、発表した。収蔵庫には九つの収蔵室があり、すべてが浸水していた。収蔵品は絵画や漫画関連資料など約二十六万点あり、水に漬かったものも確認された。大雨や逆流した下水などが、収蔵庫のある地下に流れ込んだという。 (大平樹)

 市によると、昨年三月時点の主な収蔵品には、神奈川県と市の文化財計二十四点のほか、戦前の漫画本や、十九世紀末のロートレックのポスターなどがある。同館は三階建てで、地下も含めた延べ床面積は約二万平方メートル。一九七〇年の大阪万博でエキスポタワーの設計などを手掛けた建築家・故菊竹清訓(きくたけきよのり)氏が設計し、八八年に開館した。台風19号による浸水被害で、十三日から休館している。

 雨が降り続いた十二日夜、建物外周にある資材搬入用のスロープを通じて雨水などが地下に入り、収蔵庫や発電設備などが水没した。近くを流れる多摩川は、川崎市側での氾濫はなかったが、水位が上がったことで一帯の下水が逆流。すり鉢状の緑地に入った水が、最も低い同館地下に集中した可能性があるという。近くのJR武蔵小杉駅周辺も広い範囲で冠水し、タワーマンション地下が浸水して停電するなどの被害が出た。

 市は翌十三日からポンプ車で排水を続けたが、周辺の土壌から地下水が入り込むなどして水が引かず、五日後の十八日午後になって収蔵庫内部を確認できたという。通路の壁には高さ約二メートルのところに浸水した跡があった。ひしゃげた扉もあり、水圧の影響とみられる。市は被害状況を調べ、修復に向けて文化庁と協議しながら今後の方針を決める。

 同市麻生区在住の日本画家大矢紀(おおやのり)さん(83)は寄贈したものを含め、作品約三十五点が同館に収蔵されている。「作品はわが子のようなもので、泥水に長時間漬かったと考えたら死にたいくらいだ。日本画には塗りが薄いものや金箔(きんぱく)を張ったものもあり、無事に残ることは難しいだろう」と声を震わせた。

内側に向かってひしゃげた収蔵室の扉=いずれも川崎市中原区で(同市提供)

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