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【社会】

被災ワイナリー、苦難に負けず 栃木・足利 障害者ら仕込み再開

中央付近で土砂が崩れたブドウ畑=栃木県足利市で

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 台風19号の猛威は、北海道洞爺湖サミット(二〇〇八年)でも使われたワインを、障害者らが造る栃木県足利市の「ココ・ファーム・ワイナリー」にも大きな爪痕を残した。ブドウ畑の一部が崩れ、ブドウの木約百五十本が倒れる被害が出た。醸造所などが近くの障害者支援施設「こころみ学園」の利用者らの仕事場。十月はワインの仕込みで一番忙しい時期。被害に負けず、作業を再開させた。 (小川直人)

 醸造所に隣接する勾配四〇度前後の急斜面に、二・五ヘクタールのブドウ畑が広がる。一九五八年に中学校教員と障害者らが開拓した。六九年に麓に知的障害者の施設ができ、ワイン造りは八四年から始まった。

 自家畑のブドウを使ったワインを含め、年間約二十万本を生産する。高品質で有名ソムリエの評価が高く、九州・沖縄サミット(二〇〇〇年)の晩さん会や、洞爺湖サミットの夕食会で使われた。

 台風が関東地方を襲った十二日夜から十三日朝にかけて畑の中央付近の土砂が崩れた。山頂へ続く道路も寸断された。大きくえぐられた山の姿に、学園施設長で農場長の越知真智子さん(63)は言葉を失った。「これほどの規模の土砂崩れは初めてでショックだった」

 醸造所は無事で、契約農家からブドウの入庫も続き、十四日には仕込み作業を再開させた。施設利用者やグループホームなどから通う百五十人近くが、ブドウの搬入や選別作業に汗を流す。

 ただ土砂崩れは、来秋の収穫量に影響する。植樹しても元のように収穫するには七年はかかる。道路寸断で機材が車で運べず、畑の上段部分の作業も難しい。

 障害者が担う重要な仕事の一つ「カラス番」もそうだ。山頂で畑にカラスが近づくと缶をたたいて追い払う。「誇りを持って役割を果たしてくれている。山頂付近は危険で中止せざるを得ないかも…」と越知さんは表情を曇らせた。

 来月十六、十七日には、三十六回目を迎える恒例の「収穫祭」を予定している。越知さんは「ワイン造りはしっかりと続ける」と、困難を乗り越える決意を示した。

ブドウの実を選別する障害者ら=栃木県足利市で

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