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【社会】

文化財の台風被害220件 13都県 対策と保存、両立課題

 台風19号で大雨特別警報が出た十三都県で、歴史的建造物や史跡など国や都県が指定・登録する文化財のうち、少なくとも二百二十二件が台風の被害を受けたことが二十八日、各都県への取材で分かった。うち百七十九件は国の文化財。被害があった文化財の多くは屋外にあるもので、災害対策と保存を両立させる難しさが浮き彫りになった。文化庁は地元の要請があれば、職員を派遣して修復方法を協議する。

 各都県によると、南北朝時代に築かれたとみられる福島県白河市の山城「白川城跡」では土砂崩れが起きた。国指定史跡で、文化庁の調査官が二十四日、現場を訪れ、近くにある国指定史跡の「名勝」南湖公園とともに被害状況を確認した。

 群馬県富岡市の世界文化遺産、富岡製糸場では、国宝の繰糸所の窓ガラスが破損。長野県松本市では明治期に建てられ、和洋織り交ぜた「擬洋風建築」の代表作とされる国宝の旧開智学校校舎で塔屋のしっくいが幅約百六十センチ、高さ約五十センチにわたって剥落した。茨城県取手市の国指定重要文化財、竜禅寺三仏堂では、かやぶき屋根の一部がめくれた。

 国の名勝に指定され、世界文化遺産である富士山の構成資産でもある三保松原(静岡市)でも、台風の影響で砂が削られ松の根が露出する被害があった。世界遺産・中尊寺(岩手県平泉町)の敷地内では、複数の倒木被害が生じた。

 神戸大の松下正和特命准教授(資料保存学)は「屋外にある文化財は、過度な対策でその価値を損ねないようにする必要があり、保護が難しい。ただ、建造物や史跡でも可能な範囲で事前に補強などして被害を最低限に食い止めることが重要だ」と指摘する。

 文化庁によると、被災した国の文化財修復には費用の70〜85%が補助される一方、都道府県指定の文化財には国からの補助はない。

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