東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

「なぜ あそこが避難所か」 過去30年で3回浸水 茂原の公民館また

床上浸水が始まった当時の公民館。この時、16人の住民が避難していた=千葉県茂原市の中央公民館で(同市提供)

写真

 千葉県茂原市が、この三十年で三回浸水した中央公民館(同市茂原)を避難所として開設した結果、十月二十五日の豪雨で浸水し、避難した住民を市役所へ再避難させていたことが、市などへの取材で分かった。この公民館は、過去の浸水時も避難所になっていた。市は対応が不適切だったことを認め、今後は洪水や内水氾濫時の避難所として使用しないことを決めた。 (丸山将吾、太田理英子)

 中央公民館は、市内に三十四カ所ある避難所の一つ。洪水時は二階を避難所に指定していたが、今回の豪雨では一階研修室を避難所として開放した。

 十月二十五日は午前十時二十分ごろに開設されると市民が次々と避難したが、午後三時ごろ、水が一気に床上まで達したため、一階にいた避難者十六人を急きょ二階に垂直避難させた。

 その後も水位は上がり、床上七十センチまで浸水。市は午後五時半に県へ救助を要請し、午後九時に十六人をゴムボートと木製ボートで約三百メートル離れた市役所に移した。

 市によると、同公民館は一九八九年と九六年、二〇一三年にも浸水。いずれも避難所として使われたが、担当者は「記録がなく、当時の詳しい状況は不明」としている。

 市は、過去の浸水地域を「防災マップ」で公開している。一方で、浸水が想定されるエリアや避難所、避難経路を記した「ハザードマップ」には過去の被害が反映されず、同公民館は「浸水想定区域外」だった。市は年度内に、両方のマップを統合したものを完成させる予定だった。岡田公一館長は「今回の雨で浸水するとは思わなかった。避難者の負担を減らすよう一階に避難させたが、想定が甘かった」と振り返った。

 同公民館に避難した住民の一人で、氾濫した一宮川沿いの平屋に住む男性(60)は「外は真っ暗闇の湖のようで、ボートも相当揺れていた」と再避難した当時の不安な心境を話す。「なぜあそこが避難所なのか。もっと安全な場所に避難所を設けるべきだ」と憤る。

 市は地域防災計画で、災害時の想定避難者数を市人口の約15%にあたる一万三千八百人と推定。現時点で市内避難所の最大収容可能人数は一万三千五百七十五人と、想定に足りない。

 市の担当者は「計画収容数を満たすために同公民館二階を洪水時の避難場所として指定したが、適切ではなかった」としている。

写真

◆マップありきは危険

<片田敏孝・東京大大学院特任教授(災害情報学)の話> 過去に浸水があったならば、ハザードマップに反映させるなど地域の実情に応じた工夫は必要だ。ただ、想定を超える災害が増える中、行政の防災対策には限界があり、マップありきの行動は危険でもある。住民自身が個々に最適な避難場所・行動を判断することも必要だ。自治体によっては、安全な避難所の確保が困難なケースは珍しくなく、地区ごとに地元の民間施設と協力態勢をつくることも有効だ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報