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【社会】

あおり、免許取り消しへ 警察庁検討 違反累積なしで適用

 社会問題化している「あおり運転」対策として、悪質で危険な運転には免許取り消しができるよう、警察庁が制度を改正する方向で検討していることが分かった。行政処分では最も重い免許取り消しを適用することで、悪質なドライバーを道路交通の場から排除して事故を未然に防ぐ狙いがある。年明けの通常国会に関連法案を提出する見通し。

 現行では悪質で危険な運転でも事故を起こして危険運転致死傷容疑などで摘発されない限り、違反の累積がない運転者は免許取り消しにはならず、政府、与党内からも関連法改正による罰則強化を求める声が上がっている。

 あおり運転を巡っては、車間距離を詰め過ぎる道交法の車間距離保持義務違反の昨年一年間の摘発が前年比倍増の一万三千二十五件(うち高速道路上一万一千七百九十三件)に上った。悪質運転が横行し、警察が摘発を強化している実態がうかがえる。

 道交法は、車を使って暴行事件を起こすなどした運転者について、交通違反の点数の累積がなくても、運転により交通の危険を著しく生じさせる恐れがある「危険性帯有者(きけんせいたいゆうしゃ)」として、最長百八十日間の免許停止にできると規定している。

 免許取り消しは、道交法施行令の危険性帯有者に関する処分の基準を改正して適用する案や、道交法であおり運転に関する新たな罰則を設けるなどして点数制度により適用する案が考えられているという。

 取り消し後に再取得が可能になるまでの「欠格期間」も検討中。現行では速度超過など一般的な違反による取り消しは一〜五年、酒酔いや危険運転致死傷など特定の違反は三〜十年と規定されている。

 あおり運転は二〇一七年に神奈川県の東名高速道路で、無理やり停止させられた車の夫婦にトラックが追突し死亡した事故を契機に問題化。警察庁は一八年一月、あおり運転対策として、危険運転致死傷罪や暴行罪などあらゆる法令を駆使した捜査▽車間距離保持義務違反など道交法違反による徹底取り締まり▽危険性帯有者の積極的適用−などを全国の警察に指示した。

◆恣意的運用防ぐ必要

<横浜国立大教授(刑事法)の工藤昇弁護士の話> 現行の道交法などにはあおり運転を正面から取り締まる規定はない。警察はさまざまな法令を駆使して摘発の努力をしているが、やはり限界があり、免許取り消しを含めて新たな規制をかける方向性は必要だ。事故防止の効果も期待できるだろう。ただ、一概にあおり運転と言ってもさまざまな態様があり、法令などで抽象的に定義してしまうと、何でも罰則適用ということになりかねない。恣意(しい)的に運用される余地がないよう、適正な定義を定めることが重要になる。

<危険性帯有者> 車などを運転することで、道路上の交通に著しい危険を生じさせる恐れがある状態の者を意味する用語で、道交法103条で規定されている。都道府県の公安委員会は、最長180日間の運転免許停止処分を科することができる。運転者が危険性帯有者と判断される主な行為は(1)覚醒剤・麻薬の使用(2)車を使って著しく交通の危険を生じさせる恐れがある犯罪(3)無免許や飲酒運転など違反行為の命令や容認(4)暴走行為の同乗−などとされている。

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