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【社会】

京アニ事件「第1スタジオ狙った」 容疑者 大量殺傷、周到に計画か

 アニメ制作会社「京都アニメーション」第一スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの容疑で逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)が、京都府警の任意の事情聴取に「いちばん多くの人が働いている第一スタジオを狙った。多くの負傷者を出せそうだと思ったから」と供述したことが、捜査関係者への取材で分かった。

 さいたま市の自宅を出発する時から事件を起こすつもりだったとの趣旨の供述もしており、府警は、青葉容疑者が当初から明確な殺意を抱き、大量殺傷を周到に計画していたとみて調べる。

 捜査関係者によると、青葉容疑者は事件当日、ハンマーや複数の包丁を所持。包丁は「犯行を邪魔する人がいたら襲うつもりだった」とし、ハンマーについても「ドアが閉まっていたらガラスを割って中に入ろうとした」と説明した。

 病室で淡々と聴取に応じた青葉容疑者は「道に外れることをしてしまった」と反省とも受け取れる言葉を口にし「(治療を担当した)病院のスタッフに感謝している」と述べた。埼玉から京都へ新幹線で来る際には既に殺意を持っていたとし、大筋で容疑を認めて「どうせ死刑になる」とも話した。「小説を京アニに盗まれた」とも供述した。

 入院中の聴取は公判で任意性が争われる可能性があり、府警が聴取の可否を慎重に検討していた。聴取は八日に初めて実施。勾留に耐えられる程度まで回復するのを待ち、逮捕する方針。

◆供述のポイント

▽多くの人が働く第1スタジオを狙った。多くの負傷者を出せそうだと思ったから

▽埼玉の自宅を出る時から殺意があった

▽包丁を持っていたのは、邪魔する人がいたら襲うつもりだった

▽道に外れることをしてしまった

▽どうせ死刑になる

◆識者「取り調べの録音・録画を」 入院中聴取、任意性に疑問

 青葉真司容疑者に対し、京都府警が事情聴取に踏み切った。有識者からは、公判で供述の任意性が疑問視されかねないとして、裁判員の理解を得られるよう「取り調べの録音・録画(可視化)が必要だ」との声が上がる。

 逮捕前の事情聴取に強制力はなく、容疑者は取り調べを拒否することができる。だが元裁判官の水野智幸・法政大法科大学院教授(刑事法)は「容疑者は供述しなければならない気持ちになる」と指摘。実質的に身体拘束の状態にある中での事情聴取には「事実上、強制的な要素があることは否定できない。慎重の上に慎重を期すべきだ」と訴えた。

 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「極刑が予想される以上、実況見分と同じく取り調べを録音・録画するなどの配慮をすべきだ」と強調。供述の任意性が争われる事態を避けるには「裁判員が納得できるよう、弁護士会の協力で取り調べを弁護士に監視させるなど思い切った改善が必要だ」と話した。事件を巡っては、京都弁護士会が任意段階を含む取り調べの全過程を可視化するよう京都地検や府警に申し入れている。

 

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