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【社会】

箱根、くじけない 登山鉄道、国道138号 台風で傷だらけでも

手つかずのままの箱根登山鉄道の蛇骨陸橋=いずれも6日、神奈川県箱根町で

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 甚大な被害をもたらした台風19号の上陸から12日で1カ月。1000ミリの記録的大雨の降った神奈川県箱根町では、観光客が多く利用する箱根登山鉄道は、土砂崩れにより箱根湯本−強羅(ごうら)の山岳区間で運休が続く。ただ、復興のつち音は着実に響き、観光客は戻りつつある。 (西岡聖雄、写真も)

 落差百メートルの滝のような土砂が線路を突き刺し、むき出しのレールと枕木は川に垂れ下がっていた−。

 二十カ所が被災した登山鉄道の状況は一カ月前とあまり変わらない。特に幅二十メートル、高さ百メートルにわたり急斜面が崩落した小涌谷(こわきだに)−宮ノ下間の蛇骨(じゃこつ)陸橋(全長三十八メートル)一帯は線路が八十メートル外れ、一部は宙に浮いたまま。宮原賢一鉄道部長(49)は復旧の見通しを「地盤を調べ、おおまかなスケジュールを年内には決めたい」と説明するにとどまる。

 例年なら十一月は紅葉狩りの観光客でにぎわい、三十万人が山岳区間に乗車する。台風直後に消えた強羅駅前の観光客は代行バスの運行で戻りつつあるが、運べるのは鉄道の75%で元通りとはいかない。

 県によると、町内の国道と県道は計九本あり、二本の一部は通行止めが続く。中でも通行量が多い国道138号は開通まで数カ月かかるとみられ、沿線の美術館は入館者減の影響が出ている。

 「売り上げは普段の五割弱」。強羅駅前で土産物店を営む小川道亜(みちあ)さん(77)は嘆く。それでも「戦後(一九四八年九月)のアイオン台風の時は、米軍が重機で土砂を片付けてくれた。災害のたびに強羅は乗り越えてきた」と話す。

 町観光協会によると、仙石原と強羅地区の旅館・ホテルのうち九十九軒は配管の損傷により温泉供給が一時ストップ。しかし、配管の修復が進み、自家源泉や他の源泉から調達するなどし全店が営業している。

大涌谷名物の黒たまごの販売を再開した臨時店舗

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 年間三百万人が訪れる箱根山の火口の大涌谷(おおわくだに)にも変化の兆し。台風前は秒読みだった立ち入り規制解除の動きは足踏み状態だが、名物の黒たまごを製造販売する奥箱根観光は仙石原の臨時店舗で販売を再開。毎日五千個が売れているという。

 「道路状況をネットで調べ、スムーズに来られた。温泉、ススキ見物も楽しめた」。黒たまごを買った東京都青梅市の会社員山川義彰さん(48)は喜んでいた。

 芦ノ湖の遊覧船や海賊船、火山活動で五月から運休した箱根ロープウェイも全線で営業を再開。仙石原の名所、ススキ草原の遊歩道は台風後、立ち入り禁止だったが、町は百五十メートルを復旧させて部分開放にこぎつけ、見頃に間に合わせた。

 生命力が強いススキの花言葉は「活力」。台風に耐えたススキ自体の被害は少ない。太陽光を浴びて黄金色に波打ち、いつも通りの人波を待つ。

遊歩道(中央)の一部が通れるようになった仙石原のススキ

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