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【社会】

世田谷一家殺害 保存か撤去か、遺族苦悩 警視庁「証拠保全完了」 取り壊し協議

世田谷一家4人殺害事件の現場となった住宅=14日、東京都世田谷区上祖師谷で

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 二〇〇〇年十二月に東京都世田谷区上祖師谷の宮沢みきおさん=当時(44)=一家四人が殺害された事件で、警視庁が現場となった住宅の取り壊しを遺族と協議していることが、関係者への取材で分かった。同庁は証拠保全が完了し、老朽化で周囲に危険を及ぼす恐れもあるとしている。一方、遺族は「事件が未解決のまま、現場をなくしてしまっていいのか」と複雑な思いを抱く。 (西川正志、奥村圭吾、大平樹)

 現場の土地は〇〇年三月、都が隣接する公園を拡張するために買収。建物も取り壊しが検討されたが、同庁は〇一年十一月、証拠保全の必要から取り壊し延期を遺族に要請。現在まで警察官が二十四時間態勢で現場に立っている。

 捜査一課によると、建物内の証拠や周辺の状況はすべて記録化。今年八月には建物の外観や内部の様子を3D映像化し、証拠保全は完了したと判断した。今年三月以降、遺族と取り壊しの協議を続けている。

 建物は外壁に大きな亀裂が入り、雨漏りもしている。複数の専門業者からは内部の柱も腐食しており、取り壊しも仕方がないとの意見が伝えられたという。一四年からは外壁が飛散しないよう、建物を防護ネットで覆っている。

 被害者の宮沢泰子さん=当時(41)=の姉入江杏(あん)さん(62)は「老朽化という事情は理解できないわけではない」としつつ、「遺族は事件解決を一番求めている。現場がないことで影響が出ないか心配」と話す。

 「現場を見るのがつらい。早く壊してほしい」と言う母親を説得し、捜査に協力してきたという入江さん。「四人の魂のためにも、この家を保存しないといけないと思っていたのに」と戸惑う。「いきなり重大な意思決定を迫られる遺族の負担感は大きい。まだ答えは出ない」と打ち明ける。

 渡会(わたらい)幸治・捜査一課長は「遺族の意向に沿って進めていきたい。今後もしっかりと捜査していく」としている。

<世田谷一家4人殺害事件> 2000年12月31日、東京都世田谷区上祖師谷3の会社員宮沢みきおさん宅で、宮沢さんと妻泰子さん、長女にいなちゃん=当時(8つ)、長男礼君=同(6つ)=が殺されているのが見つかった。犯行は前日深夜で、現場の遺留品や血痕などから犯人は血液型A型で、身長170センチ前後の若い男とみて捜査している。

事件現場の取り壊しについて複雑な胸中を語る入江杏さん=東京都内の自宅で

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