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【社会】

多胎児育児 9割「つらい」 双子おむつ替え1日28回、授乳18回も

つらかった育児経験を語る角田なおみさん=東京都千代田区で

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 双子や三つ子などを育てる家庭の調査や、支援策を提言する市民団体「多胎育児のサポートを考える会」などが行ったアンケートに、93%が「子どもに対してネガティブな感情を持ったことがある」と回答した。多胎児の子育てに疲弊する実態が浮き彫りになったとして、同会は「多胎児の妊娠を把握した時点で、行政が支援を始める必要がある」と指摘した。 (中村真暁)

 調査は九〜十月、インターネット上で実施し、多胎児を育てる全国の千五百九十一世帯が回答した。

 「ふさぎ込んだり、落ち込んだり、子どもに対してネガティブな感情を持ったことはあるか」という問いに、93・2%が「ある」と回答。自由記述には、「子どもを殺してしまうかもと思った」「毎日泣いていた」などのほか、愛知県で昨年一月に三つ子の一人を虐待死させたとする母親に共感するようなコメントもあった。

 育児でつらいと感じた場面(複数回答)の問いには、89・1%が「外出や移動が困難」と答え、「自分の睡眠不足や体調不良」「自分の時間がとれない」がそれぞれ77・3%。必要なサポート(複数回答)については、68%が「家事育児の人手」、57%が「金銭的援助」、52%が「子どもを預ける場所」と答えた。

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 回答した世帯のうち、双子を育てているある家庭では、一日におむつ替えが二十八回、授乳が十八回にも及んでいた。

 同会の市倉加寿代代表(35)は、自分の食事やトイレもままならないほど多忙で「当事者は支援情報にもたどり着けていない」と話す。

 家族など身内だけでは解決できない状況にあり、保育所入所の要件に「多胎児」を加えるといった行政の支援が必要だと指摘した。

◆「救ってくれたのは保育園入園通知」

 双子の娘を育てる都内の自営業、角田なおみさん(39)は「生きるのがつらかった日、救ってくれたのは保育園の入園通知だった」と振り返り、涙を流す。

 約三年前、実家に戻らず、出産。初めての双子の育児に不安は大きく、産後に母親の心身をサポートする施設に二週間滞在した。料金は約四十万円。「補助があれば助かっただろうな」と話す。

 生後半年まで、実家に帰ったり義母に住み込んでもらったりしたが、二人とも疲れ果てた。夫は仕事で帰宅が遅い。自治体の助成金でヘルパーを頼ったが、利用時間には限りがあった。

 「育児に向いていないと思い詰め、子をあやめるか、自殺かを迷っていた」。そんなころ、たまたま保育所に入れることに。生後十一カ月だった。「暗闇からの出口の光を見つけた」と思った。保育士の存在をとても大きく感じたという。

 同じ境遇の人たちに、こうメッセージを送る。「悪いのはあなたではなく、無理を強いる社会の仕組み。抱え込む前に自治体に相談して」

 

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