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【社会】

大学共通テスト 問題山積み 英語民間試験→全員否定的/国語の記述式→2人が反対

参院文教科学委で参考人として意見を述べる木村小夜・福井県立大学術教養センター教授(手前)=19日、国会で

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 二〇二〇年度から始まる大学入学共通テストを巡り十九日、参院文教科学委員会で参考人質疑が行われた。多くの問題点が指摘され、二四年度に導入が延期された英語民間検定試験について、出席した四人とも「抜本的な見直しが必要」など導入に否定的見解を示した。二〇年度実施予定の国語の記述式問題についても、二人が「必要な能力を測れない」とし、中止を求めた。 (柏崎智子)

 出席したのは、全国高等学校長協会の萩原聡会長と、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長、福井県立大学術教養センターの木村小夜(さよ)教授、日本大の紅野(こうの)謙介教授。

 英語の民間検定試験導入について、萩原会長は「入試で(読む・聞く・書く・話すの)四技能を測定できる形が望ましい」としながら、約五十万人の受験者にスピーキングテストを行うのは難しいことなどから「(各大学の)個別入試で取り入れる」ことを一案に挙げた。

 吉田会長は「共通テストとしてやる必要はない。各大学がそれぞれの方針で民間試験を利用すればいい」と明言。紅野教授は「共通テストに組み入れることに無理がある」、木村教授も「きちんと吟味し一から検討が必要」と指摘した。

 国語の記述式にも疑問が相次いだ。記述式は、一点刻みの入試から脱却し、思考力や表現力などを測るとして導入される。しかし、大量の答案を短期間に採点できるよう、さまざまな条件を付けて解答させることから、木村教授は「条件を与えないと書けなくなり、大学が求める学力とは真逆だ」と批判。紅野教授も「記述式試験の長所を殺している」と述べた。

 議員から「思考力を測るのにふさわしいか」と問われると、両教授とも否定。萩原会長はコメントを保留し、実施を求めている吉田会長は「専門家の作問なので信頼している」と答えた。

◆立ち止まって受験生の不安解消を

 文部科学省は英語民間検定試験の二〇二〇年度導入を押し切ろうとした際、「延期すれば混乱する」と主張していた。だが、教育界の代表らが出席した今回の参考人質疑で、導入延期に抗議する意見は出なかった。いったん立ち止まったことで、冷静に考えられる環境になったといえる。

 日本私立中学高等学校連合会は延期が決まるまで、予定通りの実施を求めていた。しかし同会の吉田晋会長はこの日の質疑で、共通テストへの導入に最も否定的な意見を述べた。同会はもともとは導入に反対で文科省に抗議もしたが、実施が決まっていたため、その枠内で考えていたという。

 国語や数学の記述式についてもさまざまな指摘があり、木村小夜福井県立大教授は「致命的で多少の改善では解決しない」と述べた。

 英語の民間検定試験に続き延期となれば、新しい試験の柱が総崩れになり、改革が後退すると懸念する声もある。だが、問題点を解消しないまま入試を強行し、生徒らに受験を台無しにされたと感じさせることだけは避けなければならない。同じように立ち止まることができるかが注目される。

 

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