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【社会】

<税を追う>接骨院、不正請求3.8万件 不支給に  施術・負傷部位水増し

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 柔道整復師が打撲や捻挫の施術を行う接骨院で、施術回数や負傷部位を偽るなどして企業の健康保険組合に療養費(治療費)を不正・不当に請求し「不支給」となった件数が、二〇一七〜一八年度の二年間で約三万八千五百件に上ったことが健康保険組合連合会(健保連)の調査で分かった。不支給額は本紙の推計で一億五千万円規模となる。健保連は近く厚生労働省に不正請求の対策強化を求める。 (藤川大樹、鷲野史彦)

 接骨院や整骨院では、打撲や捻挫などの治療費が保険の対象となる。患者はいったん全額を支払った後、自己負担を除いた分を健保組合などから受け取るのが原則。ただ、柔道整復師は患者の代わりに療養費を請求する「受領委任」が特例的に認められており、患者は窓口で一〜三割の自己負担分を支払い、残りは整復師が「療養費支給申請書」に施術内容を記入して健保組合などに請求する。

 健保連は今年九月、加盟する千三百八十八の健保組合にアンケートを実施。不適切な請求事例や不支給件数を尋ね、千三百十五組合(95%)から回答を得た。

 それによると、千二百九組合が患者照会を実施。約三万八千五百件の不正・不当な請求を見つけ、療養費の全額もしくは一部を不支給としていた。施術回数や負傷部位を水増しする「付け増し請求」が約一万七千件と最も多かった。

 ほかにも、骨盤矯正やヨガなど保険適用外の施術を捻挫などと偽って請求したり、保険適用外の施術で患者から費用を受け取った上で、うその施術内容を記して請求する二重請求もあった。

 交通事故で負傷した患者への施術費を自動車損害賠償責任保険(自賠責)に請求した上で、健保組合にも事務ミスで請求するといった「不当請求」は約九千七百件あった。

 柔道整復師は月初めに療養費支給申請書に患者の署名をもらえれば、一カ月分の療養費をまとめて申請できるため、水増しなどが後を絶たないという。

 健保連が一七〜一八年度に支払った柔道整復療養費は約千七百万件、計六百六十四億円。一件当たり約三千九百円となり、不支給額は約一億五千万円規模と推計される。柔道整復師は一八年時点で約七万三千人。

 健保連の担当者は「一件ごとの額が小さいので、接骨院側は『健保組合は患者照会をしないだろう』と踏んでいるのではないか」と話している。

◆個人への指導強化必要

<約一万五千人が加盟する日本柔道整復師会の三橋裕之理事の話> 柔道整復師は一人で運営している場合がほとんどで、患者に毎回、「療養費支給申請書」に署名してもらうと、事務にかかりっきりになる。不正請求の大半は会員以外で起きており、個人への指導を強化する必要がある。

<柔道整復師> 日本古来の武術の一つである柔術のうち傷ついた人を治療する「活法」がほねつぎや接骨として伝承され、柔道整復術となった。専門の養成施設や指定の大学で学び国家試験に合格すると、接骨院や整骨院を開業できる。

 

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