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【社会】

<税を追う>接骨院の療養費不正請求 柔道整復師急増が背景に

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 柔道整復師が運営する全国の接骨院で、二〇一七〜一八年度の二年間に約三万八千五百件の療養費の不正・不当な請求があった問題で、問題の背景に業界の過当競争があると指摘されている。柔道整復師は最近約十年間で約三万人も増加。逆に一人当たりの年間の療養費収入は平均三百万円余り減少しており、不正が蔓延(まんえん)する要因となっている。 (藤川大樹、鷲野史彦)

 国はかつて需給調整のため、柔整師の養成校の新設を認めてこなかったが、開校を認められなかった男性が起こした訴訟で、福岡地裁が一九九八年、「柔整師は過剰と認められない」との判断を示し、国は方針を転換。当時十五校だった養成校は約百校に膨らんだ。それに伴い柔整師は〇八年の約四万三千人から一八年は約七万三千人と一・七倍に増加。同じ期間に接骨院は約三万四千カ所から約五万カ所に増えた。

 約一万五千人の柔整師が所属する「日本柔道整復師会」によると、会員一人当たりの年間の療養費収入は二〇〇八年度の約千九十万円から一八年度は約七百二十万円に減少している。

 厚生労働省の担当者は「裁判所の判決がターニングポイントになった。養成学校の数が増えれば当然、供給過多になり、客の奪い合いになることは誰もが予想していた」と説明する。

 接骨院では捻挫や打撲といった医療保険の対象となる治療のほか、骨盤矯正や冷え性改善などの保険適用外の施術を行うところも多いが、資格を必要としないマッサージ店など類似の業態が増え、競争は激しくなる一方だ。

 接骨院は患者の代わりに企業の健康保険組合などに療養費を請求する「受領委任」が特例的に認められており、不正請求の温床と指摘される。柔整師は患者から月初めに「療養費支給申請書」に署名をもらえば、一カ月分の療養費を請求できるため、施術回数や負傷部位を水増しする不正が後を絶たない。

 一六年度の柔道整復療養費は三千六百三十六億円で、39%は税金、49%は保険料で賄われている。健康保険組合連合会の調査で一七〜一八年度、約三万八千五百件の不正・不当な請求が見つかったが、健保連では「氷山の一角」とみている。

 

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