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【社会】

台風19号 強化予定堤防、10カ所決壊 危険は認識も整備遅れ

200メートルにわたって決壊し、修復された那珂川の堤防(中央左の白い部分)。民家は泥水に漬かり、畑やビニールハウスが水没した=14日、茨城県常陸大宮市で(小倉貞俊撮影)

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 記録的豪雨となった台風19号による堤防の決壊箇所のうち、少なくとも五県の九河川十カ所は、水害のリスクが高いとして強化対策工事の対象になっていたことが国土交通省などへの取材で分かった。このうちの四カ所を含む十九カ所では、河川の整備計画で定めた堤防の高さなどが不足していたことも判明。行政が危険性を認識しながらも、整備に手が回っていない実情が浮き彫りになった。 (小倉貞俊、安藤淳)

 台風19号では、同省と宮城、福島、茨城、栃木、埼玉、新潟、長野の七県が管理する計七十一河川の百四十カ所の堤防が決壊。本紙が同省と各県に聞き取りしたところ、福島、埼玉県内を除き、十カ所の堤防について高さを上げたり、補強したりする対策工事を予定していた。

 千曲川の氾濫で大規模な浸水被害が出た長野市穂保の堤防では、川の水があふれる「越水」が長時間続いて堤防の外側が削られ、決壊したとみられている。管理する同省はこの堤防と、茨城県常陸大宮市内の那珂川などの二堤防も、水があふれても決壊までの時間を引き延ばすための越水対策工事を予定していた。宮城、栃木、新潟県管理の堤防でも、護岸の強化や流量を増やすための掘削工事を計画していた。

 一方、堤防の規模が河川の整備計画に達していなかったケースでは、同省管理の埼玉、茨城県内の堤防のほか、栃木、埼玉県管理の堤防で高さや河道の流量が足りていなかった。

 このうち、整備計画より高さが約六十センチ不足していた埼玉県東松山市早俣の都幾川堤防(同省管理)では、地元住民が決壊の恐れを懸念し、複数回にわたって管理者の国交省に改修工事を要望していた。住民からは「工事は途中で止まっていた。決壊場所を改修していたら決壊は防げたのでは」との声が上がった。

 最大の被害となる二十三河川四十九カ所が決壊した福島県は、工事予定箇所について「復旧業務が多忙で調べられない」として未回答。河川の整備計画に満たない箇所はなかったという。 

 同省の担当者は「河川は原則、下流から上流に向かって整備していく。各堤防とも同時並行で進めているが、予算の関係もあってなかなか進まないのが実情」と説明。ある県の担当者は「国管理の下流部分が整備されなければ、県の管理部分の工事が着手できない」と困惑する。

◆気候変動踏まえ対応を

<河川行政に詳しい池内幸司・東大教授の話> 治水予算はピークだった一九九七年度と比べ、当初予算ベースでは近年は六割程度でほぼ横ばい。予算には限りはあるが気候変動に合わせた河川整備を早急に進めるべきだ。

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