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【社会】

山口県消防署パワハラ、抗議の自殺 「借金・暴言を隠蔽」遺書

 山口県宇部市の宇部中央消防署員の松永拓也さん=当時(27)=が一月に自殺した原因を調べていた外部調査委員会が、職場の不祥事に抗議の意を示すためだったとする報告書をまとめたことが、関係者への取材で分かった。遺書で「パワハラや金銭問題」を告発し「上の者は都合の悪いことは無かったことにしている。隠蔽(いんぺい)し表に出さない」と批判していた。

 松永さんら後輩に先輩が多額の金を借りるなど、問題が相次いでいた。遺書で組織の変革を求めており、両親は取材に「命を懸けて訴えたことを重く受け止めてほしい」と話した。自殺直前には、両親に対し、消防車の部品を損傷したことを説明した上で「(上司は)金銭問題で何もしないのに、部品のことでうるさく言われるのは納得できない」と語っていた。

 弁護士三人による調査委は遺書を踏まえ、宇部中央消防署などを管轄する宇部・山陽小野田消防局内の金銭問題などを調査。報告書によると、後輩八人から計百四十一万円を借金した職員が、パワハラ行為だとして二〇一六年に文書訓告処分を受けていた。松永さんも共済会から借りた五十万円を貸し付けていた。

 一八年には松永さんは無関係だが、職場の九人から計五百八十八万円を借金した職員のほか、同僚らに人格否定の発言をした職員が文書訓告になった。

 発言問題では懲戒審査委員会が公表対象になる懲戒処分の戒告相当としたが、部次長協議で「公表による不利益」などの理由で退けられた。報告書は「隠蔽があったと疑われたとしても当然」と批判した。結局、三件とも懲戒処分ではなかったため非公表に。報告書は、松永さんが「幹部が事実を隠したり自己保身を図ったりしているのではないかと考えていたと思われる」としている。

 松永さんは今年一月二十一日に出動した際、消防車のコンセントのカバーに足が当たり損傷させた。上司は二十三日、口頭報告の場で松永さんを叱責(しっせき)。報告書はやりとりに関し「(上司は)聞く耳を持って理解しようとする姿勢に欠ける」と指摘した。翌二十四日、アパートで亡くなっているのが見つかった。

 

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