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【社会】

首都圏国公立大、英語民間試験導入に酷評 国語記述に不信

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 二〇二一年一月に初めて実施される大学入学共通テストへの英語民間検定試験導入の延期を巡り、本紙が首都圏の国公立大二十九校へアンケートを行ったところ、二十一校が一般選抜で民間試験を「利用しない」と回答した。「無理なシステムだった」「専門家の意見を聞いてほしかった」と導入への不満の声も上がった。文部科学省が「予定通り行う」としている国語の記述式問題については様子見の大学もあった。 (柏崎智子)

 本紙は、国立大学協会(国大協)の方針により各国立大が二十九日に民間検定試験延期への対応を公表したのに合わせ、東京、群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、神奈川の一都六県にある国立大十九校、公立大十校にアンケートを行った。

 延期への対応では、もともと利用予定のなかった二校を含む二十一校が、経済的、地理的格差が助長されることなどを理由に民間試験を「利用しない」とした。公立の四校は検討中と回答した。

 一部の学部などで利用する大学が四校あるが、いずれも国のシステムとは無関係に、以前から独自に出願資格や加点の対象としてきた制度を継続するものという。

 理由を個別に取材すると、ある大学の関係者は「最初からセンスの悪い政策だと思っていた」と打ち明けた。「民間試験は、推薦など学力試験を課さないタイプの入試では一定の学力のバロメーターとして有効。しかし、五十万人が一度に受ける一般入試に導入するとは、現場を知らない人の思い付きだ」。それでも、大学として拒否できなかったといい「反対の声を上げた高校生たちには本当に頭が下がる。延期になってよかった」と話した。

◆「利用する」19校

 アンケートでは、採点の公平性確保や正しい自己採点の難しさが指摘され、撤回を求める声が強まっている国語の記述式問題の利用方針も聞いた。合否判定に使わないと決定した大学はなく、十九校が「利用する」と回答した。

 「思考力、判断力を評価する意義はある」という意見もあったが、複数の大学が「採点者によって判断に差が出るのでは」などと不安を挙げた。ある大学の関係者は「共通テストで出題する必要はない。配点を最小限にして影響を少なくした」と説明した。

 「本当に実施するのか」といぶかる声も相次ぎ、配点を決めたのに「未定」と回答した大学も。担当者は「前から記述式の実施には学内で疑問は出ていたが、国会でも文科省が連日追及されている。中止になるかもしれず、発表できない。受験生には早く知らせたいが、振り回したくない。申し訳なく思う」と嘆いた。

 同様に配点を公表できずにいる別の大学関係者は「これまでルールが次々と上書きされ、その都度『またか』と思いながら対応してきた。記述式も、文科省や大学入試センターがあらためて『実施する』と通知を出さない限り、信じられない」と話す。大学入試の世界では、科目や試験方法などの変更は二年前までに公表するルールがあり、「共通テストまであと一年余り。タイムリミットはとっくに過ぎた。異常です」。

 

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