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【社会】

絶えぬヘイト、無関心が助長 京都朝鮮学校妨害事件から10年 当時の体験者語る

「無知が差別に加担していることを知ってほしい」と話す南智仁さん=京都市上京区の同志社大で

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 在日特権を許さない市民の会(在特会)が朝鮮学校の前でヘイトスピーチを行い、授業を妨げた京都朝鮮学校妨害事件は今月、発生から十年を迎えた。この間、ヘイトスピーチ対策法が成立するなど法整備も進んだが、インターネット上などでは今も在日外国人への攻撃が絶えない。事件当時、学校にいた同志社大三年の南智仁(ナムチイン)さん(20)は「差別は今も続いている。無知が当事者を苦しめていることを知ってほしい」と訴えている。 (森田真奈子)

 妨害は二〇〇九年十二月四日に発生。在特会のメンバーらが旧京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)の前で拡声器を使い、約一時間にわたり「密入国の子孫」「日本に住ましてやってんねん」などと連呼した。

 学校では当時、近隣三校の児童らも参加して交流授業が行われていた。滋賀朝鮮初級学校(大津市)から訪れていた南さんは「当時は何があったのか分からなかったが、講堂のカーテンが突然閉められて、窓際がざわついていたのを覚えている」と振り返る。

 南さんは事件後、動画を通して妨害の詳細な様子を知った。「いくら根拠がないことを言っていても、自分たちに向けて暴言を吐かれるのはしんどい。怖くて悲しかった」と話す。

 事件後、出自を表に出すのを怖く感じることも。出身校を聞かれても「地元の学校」と受け流したり、「朝鮮」が持つ否定的なイメージを避けようと自らを「在日韓国人」とごまかして説明したこともあった。

 ただ、事件を特別な出来事ではなく「ずっと続いてきた朝鮮人への攻撃の一つ」だと捉えている。ネット上では、「不逞(ふてい)鮮人」「犯罪朝鮮人」といった差別的な書き込みを目にすることは、日常茶飯事だ。

 妨害事件後も在特会などによるヘイトスピーチは各地で続き、一六年にはヘイトスピーチを規制する対策法が成立。こうした動きを通し、南さんは「ヘイトスピーチはあかんという意識が世間的に広がった」と受け止めるが、一方で「朝鮮人に対する偏見はなくなっていない」とも断じる。

 大学で在日コリアンのサークルの勧誘活動をしていた時には、通り掛かった学生から「国に帰れや」と吐き捨てるように言われたこともあったという。

 南さんは「そもそも在日がどういう歴史的背景で(日本に)いるのか、知らない人が多過ぎる。無知や無関心が差別を助長していることを自覚してほしい」と話す。

<京都朝鮮学校妨害事件> 妨害の中心メンバー4人は2011年に京都地裁で威力業務妨害や侮辱の罪で有罪判決を受けた。学校側は、損害賠償などを求めて在特会などを提訴。京都地裁は13年、この事件を含む09〜10年の3件の妨害行為を「人種差別」と認め、学校周辺での街宣禁止や約1200万円の賠償を在特会に命じた。

 

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