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【社会】

中村医師殺害 「日本人はまだ生きているぞ」さらに銃撃 周到な犯行

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 民族衣装姿の男らは車両を挟み、容赦なく発砲を繰り返した−。福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の医師、中村哲さん(73)らが四日、アフガニスタン東部で殺害された事件。「日本人はまだ生きているぞ」。男らはさらに弾を撃ち込み、生死を確認してから立ち去る周到ぶりだった。当局発表や現地報道から現場の様子を再現した。

 事件が起きたのは現地時間四日午前八時ごろ。ナンガルハル州都ジャララバードの宿舎から、約二十五キロ離れたクナール州マルワリードの用水路に向け出発した直後だった。レストラン前の舗装道路を通り掛かったトヨタ自動車の白いピックアップトラック。二台の車に分乗して現場へ来て、待ち伏せしていた男四人前後の武装集団が駆け寄って両側から襲い掛かる。

 裾の長い民族衣装「シャルワル・カミーズ」姿で、顔をさらけ出した男らは最初に中村さんのボディーガードを殺害。次に進行方向右側の助手席に座っていたとみられる中村さんと、運転手に銃弾を浴びせた。

 目撃者の男性は、男の一人から「こちらに来るな」と怒鳴りつけられ、レストランに逃げ込んだ。

 銃撃はいったん止まったが、中村さんが頭を上げると、男らは「まだ生きているぞ」と叫び、再び車内に弾を撃ち込む。「誰も生きていないな。終わった。行くぞ」。車に乗り込んで、そそくさと立ち去った。残されたピックアップトラックの周りには赤い血痕が残り、ドアの窓は粉々に砕け散っていた。

 中村さんは複数の銃弾を浴び、口や腕にチューブをつながれて担架で地元の病院へ。ペシャワール会事務局に一報が入ったのは直後の日本時間昼だった。当初、中村さんは腹を一発撃たれ、意識があり命に別条はないとの情報だった。後に撃たれた場所が右胸へと変わり、午後になって死亡の悲報が届く。

 中村さんが命の危険を感じたことはなかったというが、過去に車を奪われたことはある。「一番危ないのは移動中と認識していた」と同会幹部。同じ道を通らないようにしていたが、小さな町ではルート選定にも限界があったのか。中村さんの死亡が確認されたのは、首都カブール北方のバグラム米空軍基地にヘリで緊急搬送される直前だった。 (共同)

4日、アフガニスタン東部ジャララバードで、中村哲医師を乗せた車の銃撃現場を調べる治安当局者=ロイター・共同

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◆政府チーム現地派遣検討

 菅義偉官房長官は五日の記者会見で、中村哲さんらが殺害された事件について「卑劣なテロは許されるものではなく、断固として非難する」と述べた。テロなどに対処する政府の「海外緊急展開チーム」の現地派遣を検討していると説明した。

 中村さんらの死去について「アフガニスタンの発展に多大な尽力をしてきた方々が犠牲になったことは、痛恨の極みだ」と悼んだ。

 

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