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【社会】

障害者の行動理解を うろうろ、ぶつぶつ 不安の表れ

チラシサイズのポスターを見る発案者の早坂由美子さん(左)と次男の拓真さん=11月、横浜市港南区で

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 知的障害や精神障害のある人が病院の待合室などで歩き回ったり大声を出したりするのは理由があることを、やさしい言葉とゆるいイラストで紹介するポスターが注目されている。発案したのは横浜市に住む当事者の家族。会員制交流サイト(SNS)を通じ、全国各地の自治体に広まっている。 (杉戸祐子)

 不安を解消しようと飛び跳ねたりグルグル回ったりする「ぴょんぴょんぐるぐる」、平静を保とうと歩く「うろうろ」、独りごとで気持ちの整理をする「ぶつぶつ」−。ポスターは、障害のある人が慣れない場所ですることのある六つの行動を、親しみやすいイラストで描き、理由を添えた。

 発案したのは横浜市港南区の早坂由美子さん(68)。知的障害のある次男の拓真さん(38)が幼い頃、診療所の待合室で、歩き回ったり声を出したりした経験がある。「周りの人も体調が悪くて受診している。いたたまれない気持ちになった」。拓真さんが体調を崩しても市販薬で対応し、受診を控えたこともあった。

 こうした「待合室の壁」は、六年前から区障害者団体連絡会の会長を務め、子育て中の当事者の家族らと交流する中で、今も残っていると実感。「健常者が障害について知らないゆえの『壁』。待っている時間に何げなく見てもらえるポスターがあれば」と思い付いた。

 イラストは、港南区などで作る区自立支援協議会のメンバーが担当、穏やかな暖色系に仕上げた。「手助けを求めたいのではない。健常者には異常に映ることにも理由があり、不安な気持ちの表現の一つだと知ってもらうだけでいい」と早坂さん。だからタイトルは「あたたかく見守ってください」と呼び掛けた。同区高齢・障害支援課の竹田良雄課長も「押し付けがましくならず身近に感じてもらえたら」と語る。

 ポスターは区医師会を通じ、近隣の医療機関に配布したほか、市営地下鉄の駅や市内を走る公共バスなどで掲示中。SNSのツイッターでは「疑問が晴れた」「行動の理由がわかったので恐怖心が和らいだ」といった反響があった。区は、東京都清瀬市や埼玉県日高市、大阪府岸和田市など全国の五つの市に提供。京都府教委は人権学習用の高校教員向け資料集で取り上げている。

 早坂さんは「社会の中にはこういう人もいることを知ってもらい、健常者も障害者も当たり前に暮らしていけたら」と思い描く。

横浜市港南区自立支援協議会が制作したポスター

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