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【社会】

もしかして受賞狙ってる? 経産相の石炭火力維持発言でまた「化石賞」

COP25の会場で開かれた「化石賞」の発表イベント=3日、マドリード(共同)

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 地球温暖化対策に後ろ向きだとして、世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」が日本に「化石賞」を贈った。梶山弘志経済産業相が、温暖化を悪化させる石炭火力発電の利用を続ける方針を示したのが受賞理由だが、日本は過去に何度もこの賞を受けている。これほど国際的に批判を浴びているのに、なぜ改めようとしないのか。 (片山夏子)

◆「賞をくれと言っているようなもの」

 同ネットワークの日本事務局を担うNPO法人「気候ネットワーク」東京事務所によると、化石賞の授与は一九九九年の気候変動枠組み条約第五回締約国会議(COP5)で始まった。地球温暖化対策に前向きでない国に対し開催中毎日、贈るようになった。今回はスペイン・マドリードで開かれているCOP25の会場で三日に発表され、大規模な森林火災への対応の悪さを指摘されたブラジルとオーストラリアも受賞した。

 梶山氏が同日の閣議後会見で「石炭火発、化石燃料の発電所は選択肢として残しておきたい」と述べたことが“評価”された。東京事務所の桃井貴子所長は「日本は毎年のように授与される常連国。経産相の発言は、化石賞をくれと言っているようなものだ」と皮肉る。

梶山弘志経産相(共同)

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◆石炭火力を増設 世界に逆行

 日本は東京電力福島第一原発事故が起きた二〇一一年には複数回受賞し、「国民に途方もない苦難をもたらした(原発)技術を途上国に輸出し、見返りに排出枠を得ようとしている」として、不適切かつ無責任で道徳的に誤っていると批判された。

 石炭火力発電所を巡っては、欧州主要国やカナダなどが廃止に向けてかじを切る一方、日本では新増設が相次いでいる。震災以降、原子力発電の割合が下がる中で、一八年度の石炭火力の割合は31・2%と、一〇年度から3・4%増えた。一方、再生エネルギー(水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス)は同期間で7・5%増の16・9%にとどまっている。

 国際環境団体「グリーンピース・ジャパン」エネルギー担当のハンナ・ハッコ氏は、温暖化対策の国際的枠組みを定めた一五年の「パリ協定」採択後も、日本では十五基の石炭火力発電所が新たに稼働したと指摘する。「ほとんどの先進国が再生可能エネルギーにシフトし、パリ協定を離脱した米国ですら石炭火力の割合を急速に低減させる中、日本は逆行している」

◆再生エネを進めなければ厳しい立場に

 NPO法人「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長は「この十年で世界の流れが大きく変わり、発電コストは風力が三分の一以下、太陽光は十分の一になった。経済的にも、環境やエネルギー自給の上でも利点が大きくなった。政府はあれだけの事故を起こした原発や、石炭火力が電力の中心だとする考えを変えようとしないが、現状を直視して根本から見直すべきだ」と提言する。

 日本は五〇年までに、温室効果ガスを八割削減する目標を掲げている。ただ、エネルギーの転換には時間がかかる。

 環境ジャーナリストの枝広淳子氏は「再生エネルギーに移行する際の大きなネックは、送電網の整備に莫大な費用がかかること。さらに、太陽光にしても風力にしても、大規模な発電施設を造るほど広い土地が十分にない点も問題になる。それでも具体的に計画を出して着実に実行していかないと、温暖化が進む中で国際的にますます厳しい立場に置かれる」と語った。

(12月5日東京新聞朝刊特報面に掲載)

 

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