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【社会】

洪水想定 公表に差 「埼玉0」「千葉1」「群馬・茨城・栃木は全河川」

台風19号の影響で浸水した埼玉県川越市から坂戸市の一帯=10月13日、本社ヘリ「あさづる」から(沢田将人撮影)

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 台風や豪雨での洪水ハザードマップの基礎となり、都道府県が「千年に一度」の大雨を基準に作成を義務付けられている主要河川の浸水想定区域図について、本紙が首都圏の公表状況を調べたところ、埼玉県がゼロ、千葉県は一河川のみだった。一方で群馬、茨城、栃木県はすべて公表済みで、特に群馬県は対象の十九河川以外の中小河川も含めた県管理の四百二十八河川で作成、公表するなど地域差が浮き彫りになった。 (福岡範行)

 浸水想定区域図は、洪水の危険性を知らせる「洪水予報河川」や水位情報を発信する「水位周知河川」について、水防法で作成、公表が義務となっている。豪雨災害の頻発を受け、国は二〇一五年の水防法改正で、想定に用いる降雨の基準を「数十年から百年に一度」から「千年に一度」に引き上げた。国管理の四百四十八河川は一七年七月までにすべて公表した。

 ただ、作成時期の定めはないため、都道府県の対応はばらついている。国土交通省の担当者は「市町村との事前調整を丁寧にするところもある。財政面などの地域の実情に応じて判断してもらっている」と話す。

 十月の台風19号では、埼玉県で区域図作成の対象になっていない流域で氾濫が発生。台風21号でも千葉県で水位周知河川の一宮川が氾濫し、以前の降雨基準に基づく浸水想定区域外にまで被害が及んだ。

 想定区域図の公表が遅い理由について、埼玉県河川砂防課は「国直轄河川の区域図見直しの様子を見ていた」と説明。千葉県河川環境課は「二〇年度までに作成予定だった」とする。両県は二〇年度には、作成義務のある河川の図を全て更新し、公表する予定という。

 一方、群馬県は法改正から二年後の一七年夏に対象河川の浸水想定区域図を更新。一八年には、それ以外の県管理河川でも「千年に一度」の大雨を基準とした「水害リスク想定マップ」を公表した。

 国交省も今年の水害を受け、対象河川以外の浸水想定の検討を始めたが、それを先取りした形で、県河川課の米山智雄次長は「県内には小さくて急勾配の川が多く、強い夕立でも小規模な洪水が起こり得る」と強調した。

◆ハザードマップは全国33%のみ

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 浸水想定区域図の作成ではまず、降雨時の川の増水を計算し、堤防の決壊の恐れがある地点を選ぶ。全ての地点ごとに周囲の地形や建物の密集度合いなどを踏まえ、決壊時の浸水域の拡大をシミュレーションし、場所ごとの最大の浸水深を取って想定区域図を描く。

 この浸水想定区域図を基に、市区町村が避難所や避難経路の情報を加えて洪水ハザードマップを作る。水防法は「千年に一度」の大雨時のハザードマップの公表も義務付けており、全国の市区町村のうち、今年三月までに公表済みなのは33%にとどまる。

 台風21号で一宮川の氾濫被害が出た千葉県茂原市もハザードマップの更新を検討していたが、担当者は「浸水想定区域図の見直し時期が分からず、県の動きを待ってしまった」と話す。

 ハザードマップの作成前でも、最新の浸水想定は国や都道府県のホームページで見ることができる。多摩川や荒川などの大河川は、国交省が二〇一五年七月から公開している「地点別浸水シミュレーション検索システム(浸水ナビ)」で、浸水の広がり方をアニメーションで確認できる。

 例えば都内の荒川沿いには約百七十カ所の決壊想定地点が設定されており、住所を指定すると、どこで堤防が壊れた時に浸水の恐れがあるのかが分かる。

 

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