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【社会】

【動画あり】提灯殺しのおばけトンネル 通りゃんせえ〜 高輪ゲートウェイ駅再開発で来春、車は通行止めに

 頭がぶつかりそうなほど低い天井。電灯はあるが薄暗い。壁沿いにチョロチョロと水が流れる。ときおり響く、ごう音−。ここは「おばけトンネル」の異名もある「高輪橋架道橋(たかなわばしかどうきょう)」(港区)のガード下。来春開業するJR高輪ゲートウェイ駅に近く、一帯の再開発に合わせたリニューアルが決まった。天井すれすれに車が通る風景は、まもなく見納め…だが工事は十年以上かかるらしい。よもや、おばけのせい?

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 ガードはJR田町−品川駅間にある。上に山手線と京浜東北線、東海道線、東海道新幹線、加えて車両基地の線路があり、長さ二百二十八メートル。歩けば三、四分かかる。天井高は一・七メートルと低く、圧迫感がある。

入り口の高さ制限1.5メートルを示す標識

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 そのうえ電車が通れば、ゴーッと音が響く。それで「おばけトンネル」とか、背の高い歩行者がうつむくから「首曲がりのトンネル」、タクシーの屋根の提灯(ちょうちん)が壊れることもあるので「提灯殺しのガード」とも呼ばれてきた。

ガード東側の入り口には、「高輪橋架道橋」の看板と、ガードに衝突した際の通報先が

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 確かにタクシーが通過する様子を見ると、提灯は天井すれすれ。車椅子での乗りやすさも配慮し、普及が進んでいる車高が高いタクシーは通れない。あるタクシー運転手は「ガードを通りたいお客さんは、高さの低い車を選んで乗るね。ガードを通れず遠回りすると、数百円の差が出るから」と明かす。

セダンタイプ(右)より車高が高いJPN TAXI(ジャパンタクシー)はガード下を通れない

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 それでも地元では重宝される。なにしろ田町−品川駅の約二キロの間で、線路の東西を結ぶ道は、このガードを合わせて二カ所だけ。線路東側に住む無職宮沢秀樹さん(73)は「反対側の都営地下鉄泉岳寺駅に抜けるために、このガードがないと困る。身長一六八センチの私も、歩く弾みで天井に頭をぶつけたことがあるけど」と苦笑しつつ話す。

 ガードの歴史は古い。港区によれば、一八七二(明治五)年、国内初の鉄道が新橋−横浜間で開通した時にできたという。当時、このあたりの線路は海岸線沿いを通り、ガード下の道路は東京湾に通じる排水路だった。埋め立てが進んだ大正時代に水路も埋められ、道路に変わった。鉄道用地が埋め立て地の上に広がるにつれて、ガード下道路の距離も伸び、現在のトンネル状になったようだ。

「頭上注意!」

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 高輪ゲートウェイ駅付近の再開発に伴い、ガード廃止のうわさもあったが、東西の通行を確保するため、すぐ隣に新しいガードが造られる。計画では、天井高は二・五メートルを確保し「背が高くても、かがまず歩ける」と港区の担当者。幅は、約二倍の十メートルにバージョンアップ。いまは車は西から東への一方通行だが、双方向へ抜けられるようになる。

 現在のガードは来年四月中に車両通行止めとなる。問題は工期の長さ。上をひっきりなしに電車が通るため、工事ができるのは主に終電〜始発の短い時間帯だけ。完成見込みは三一年度中と、かなり先だ。歩行者の行き来はできるよう、完工まで歩道だけは残すという。

タクシーも人も自転車も天井すれすれに通る港区のおばけガード(高輪橋架道橋)

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 東京都の開発計画推進担当課長・山本健一さんは「線路で分断された東西を結ぶ貴重な通路だけに、再開発に合わせて人も車も通りやすくしたい。だが真上を日本の大動脈が何本も通るので工事は長引く。自動車には遠回りしてもらうが、しばらく我慢をお願いしたい」と理解を求めた。

文・梅野光春/写真・梅野光春、淡路久喜

 

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