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【社会】

ただのご当地ヒーローじゃない! キレッキレの本格派「エドレンジャー」 中の人は…

キレのあるポーズを見せるご当地ヒーローのエドレンジャー=東京都江戸川区で

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 全国にご当地ヒーローは数あれど、江戸川区のエドレンジャーは、アクションの本格さで他を圧倒する。それもそのはず。演じているのはアクション俳優の卵だからだ。商店街を盛り上げるという使命を胸に、きょうも街をひた走る。

 にぎわいが失われつつある商店街は、悪の組織シャッター軍団に支配されそうになっていた。商店街の若者ら4人はエドレンジャーに変身し、軍団を率いる不景気将軍に立ち向かう−。

 と、ここまではよくある設定。エドレンジャーの真骨頂は、ど派手なヒーローショーにある。

ヒーローショーでキレのある動きを見せるエドレンジャーのエドレッド(右)

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 8日、商店街の一角にある江戸川中央公園に不景気将軍が襲来した。低い声ですごむ悪役に小さい子が泣き叫ぶ。エドレンジャーは回し蹴りや跳び蹴りに、長い剣も振り回して応酬。時代劇さながらの激しい殺陣(たて)で敵や味方が入り乱れた。

 演じたのは、区内にある、ウルトラマンや仮面ライダーの「中の人」を輩出してきた東京映画・俳優&放送芸術専門学校の学生たち。「スーツアクターになりたい」という3年小沢日向(ひゅうが)さん(21)のように、その道を目指す学生たちが、演技を学び、稽古を積み、実践の場としてショーに臨んでいるのだ。

 裏方や小道具の製作も学生たちが担う。舞台脇では、サンプラーと呼ばれる機器を操作して、剣がぶつかり合う「シャキーン」やパンチの「ドゥン」など10種類以上の効果音を流す。衣装は全身タイツではなく、たるみやしわが出にくいレザーを基調にしている。こうした細かい演出が、安っぽくなりがちなご当地ヒーローのショーを「本物」っぽく見せている。

本格アクションに子どもたちは大興奮

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 全国から100体以上が参加する日本ローカルヒーロー祭の主催者は、エドレンジャーの動きを「ポーズを決める時、体が正面を向いている。こうしたヒーロー然とした動きがきちんとできているので格好良く見える」と評する。

 誕生は2013年。江戸川区商店街連合会がPR役として考案し、質の高さにこだわって同校に協力を打診した。当初の制作費こそ、約200万円の国の補助を活用したが、今では缶バッジなどの収益で運営している。

子どもたちに人気のエドレンジャーグッズ(江戸川区提供)

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 区によると、昨年度の動員数は初年度の6倍となる約1万2000人。追っかけもいる。京都府の会社員仁科芙妃(ふき)さん(28)は「地域に愛されているのが伝わってくる。そんな温かい空気が好き」と熱っぽく語る。

 地元の親子グループは手作り衣装で最前列に陣取っていた。寺田羚夏(れな)ちゃん(6つ)の母光湖さん(42)は「エドレンジャーがPR動画で紹介する店を聖地巡りしている」と明かした。

エドレンジャーの衣装で記念撮影する子どもたち(寺田光湖さん提供)

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 商店街をまとめる松本勝義さん(77)が「商店街のファンを増やしたい」と思い描いたようなシナリオになりつつある。エドレンジャーに影響された「小さいお友だち」が、将来の商店街を守る真のヒーローになるはずだ。

<エドレッド> 赤橋烈火(あかはし・れっか) 中華料理店の3代目。家訓は「炎を制する者は料理を制する」。熱血漢、直情型で正義感も強いリーダー格。キレた時の口癖は「炒められてーのか!?」

<エドグリーン> 緑川平次太(みどりかわ・べじーた) 青果店の2代目。威勢は良いが、明るい温厚な性格。お釣りを渡す時の「はい、120万円のお返し!」がテンションが高まると「はい、120万両のお返し!!」になることも

<エドピンク> 桃木桜子(ももき・さくらこ) 植木屋の長女。元来はおとなしく清楚で争いも好まないが、正義感は人一倍。特に桜を粗末に扱う者には容赦しない。新しいデザートには目がない

<エドゴールド> 金園魚右烈(かねぞの・ぎょうれつ) 鮮魚店の創業者。年齢はナゾ。2代目に事業を譲り、全国の商店街を元気にすべく行脚を始めた。時に烈火たちを叱る「伝説の商売人」。驚くと「ぎょぎょぎょっ!」と若かりし頃からの口癖が出ることも

 文・加藤健太/写真・由木直子

(12月17日朝刊「TOKYO発」に掲載)

 

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