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【社会】

<税を追う>マイナンバーカードに保険証機能 顔認証設備 国が負担

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 マイナンバーカードを使って診療時の本人確認と保険資格確認をオンラインで行うため、医療機関が導入する顔認証機能付きカードリーダー(読み取り機)の費用を国が全額負担することが、2020年度予算案で分かった。カードの普及率は15%に満たず、従来の健康保険証での確認も併用されるため、専門家らからは「リーダーが無用の長物になる」「カードを普及させるためだけの公費負担は無駄」との批判が出ている。 (安藤淳)

 十月一日施行の改正健康保険法に基づき、政府は早ければ二一年三月にも、マイナンバーカードを保険証として使えるようにする。二二年度末までにほぼ全ての医療機関などでカードの導入を目指しており、保険証を突破口にカードの普及を図る狙いだ。

 計画では、病院の窓口に置く読み取り機にカメラ付きの顔認証システムを組み込み、患者本人がカードをかざして情報を読みとらせる。保険資格確認用のサーバーで照合するとともに、カードの顔写真で本人確認も行う。

 顔認証システムは既にNECやパナソニックが実用化しており、機器は全国二十二万以上ある医療機関・薬局のほぼすべてに無償で交付する。ただ一般のマイナンバーカードリーダーは三千円前後なのに比べ、一台約九万円と高額となることが想定される。

 政府は本年度、医療機関・薬局のオンライン確認システム整備と電子カルテシステム導入を支援する「医療情報化支援基金」に三百億円を計上。来年度予算案には顔認証機器の購入費と、医療機関がシステムを改修する際の補助費として計七百六十八億円を盛り込んだ。

 厚生労働省の担当者は「マイナンバーカードは保険資格の確認だけでなく、他人になりすましての保険証の不正利用防止にも有効」と説明。カード普及率が低迷していることには「社会基盤整備としてカード取得促進と医療機関への導入の両方に役立つ」とする。

 これに対し、白鴎大学の石村耕治名誉教授(税法)は「使い捨てパスワードを使ったスマートフォンでの二段階認証が主流なのに、カードを使った時代遅れの技術に多額の税金をつぎ込もうとしている」と批判。顔認証技術についても「欧米では個人情報保護の観点から規制を考える時代に入っているのに」と指摘している。

◆医療機関懸念「紛失や番号漏えいも」

 二〇一六年に運用が始まったマイナンバーカードの普及率は、14・7%(十九日現在)と低迷している。普及を図りたい政府は保険証利用を考えたが、マイナンバーは法律で厳格な管理が求められ、医療機関は取り扱いを心配した。

 このため、政府は顔認証付きカードリーダーで患者自身がカードを読み取らせ、病院スタッフらがカードを扱わなくてよい仕組みを検討。機器の設置も税金で賄う方向で調整した。

 日本医師会の石川広己(ひろみ)常任理事は「機微な医療情報とマイナンバーを結び付けるのは反対だが、保険資格の確認だけなら受け付けを自動化できるメリットがあり、(顔認証機器導入の)方向性が決まった。カードを普及させるため機器を配るというのは、国が決めたこと」と明かす。

 一方、全国保険医団体連合会は「保険証でもオンラインの資格確認は可能。院内でのカード紛失や番号漏えいも起きうる」と、マイナンバーカードの保険証利用に反対している。

 

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