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【社会】

上皇さま誕生日の12月23日、将来は祝日「平成の日」に?

 三十年ぶりに平日となった十二月二十三日。今年、平成から令和への天皇の代替わりがあり、天皇誕生日が二月二十三日に変わったからだが、明治天皇の誕生日は「文化の日」、昭和天皇の誕生日は「昭和の日」として続いている。平成の天皇だった上皇の誕生日は将来、「平成の日」として祝日に復活するのか。(稲垣太郎)

2月に変更された天皇誕生日が記された令和2年のカレンダーをつくる製造現場=福井市で

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◆30年ぶりに12月23日が平日

 平日の「十二月二十三日」を街行く人たちはどう受けとめたか。「今月に入って、スマホのカレンダーを見たら二十三日が赤くなっていないのに気付いた。今日は午後から休みを取って、いつもより早く飲みに行きます」。そう話したのは東京・新橋駅前の広場で待ち合わせをしていた台東区の会社員女性(28)。他にも「職場のスケジュール表を見て初めて気付いた」(千葉県印西市の会社員男性)など、当然休みだと認識していた人も多いようだ。

 昭和天皇の誕生日の四月二十九日は一九八九年一月七日の崩御後に国民の祝日の「みどりの日」とされた。だが、この一見、天皇と無関係な名称に対し自民党内の保守派などが反発。祝日法改正案が三度も提出され、二〇〇七年から「昭和の日」となった。「みどりの日」は五月四日に移されて現在に至る。

 ただ名称はともかく、昭和天皇の誕生日は一貫して祝日なのに、十二月二十三日はなぜ、平日になったのか。「国民の祝日」を所掌する内閣府大臣官房総務課に問い合わせると、天皇の誕生日が変わったという事実に沿った祝日法改正があったからだという。

◆「ご存命中は議論避けるべき」

 同課管理室の山本昌男氏が「あくまでも個人的な意見」と念を押した上で、十二月二十三日を祝日にすることについては「今後の議論にもよるが、少なくとも上皇陛下がご存命中に議論をするのはあまり好ましくない」と話した。昭和から平成への代替わりは、昭和天皇の崩御に伴うものだったが、今回は生前退位によるという事情が影響しているらしい。

 ちなみに大正天皇の誕生日の八月三十一日は盛夏期であることから十月三十一日を祝日としていたが、現在は残っていない。明治天皇の誕生日である十一月三日は、崩御から十五年後の一九二七年に明治節として祝日になり、戦後は国民の祝日の「文化の日」として続いている。

 武蔵野美術大の志田陽子教授(憲法)は「存命中の退位は憲法でも皇室典範でも想定されていないことなので、どうするかについては国民的な議論を呼び込むべきだ」と話す。

 そして「存命中の人物の誕生日を祝日とすることは避け、逝去後に考えるという選択肢はあり得る」とした上で、「考えた結果、祝日にする選択もあれば、祝日として復活しないという選択もある。民意をきちんとすくい上げることが求められる」と付け加えた。

◆「明治の日」制定の動き 元号の政治利用に懸念の声

 ただ志田氏は、再び祝日にするとしても、「名称には注意が必要だ」として、昭和天皇の誕生日の「みどりの日」から「昭和の日」に変更された例に加え、「文化の日」も「明治の日」と名称を変えようとする動きを挙げる。

 今年十月には、保守系市民団体「明治の日推進協議会」が国会内で集会を開き、自民党議員でつくる「明治の日を実現するための議員連盟」に、改称に賛同する百万人超の署名を手渡した。戦中・戦前に戻るかのような改称には、有識者から疑問の声が出ている。

 志田氏は「元号を日本社会にとっての基本価値にしようとしているのではないか。天皇誕生日を祝日にする際に、名称が政治利用されないように気を付けるべきだ」と訴える。

 

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