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【社会】

寅さん見てますか 第1作に出演、初代満男50歳 和菓子店継ぎ奮闘

「男はつらいよ」第1作の撮影の合間に、笠智衆さんに抱かれる初代「満男」の石川雅一さん=石川さん提供

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 二十二年ぶりに公開された映画「男はつらいよ」の新作は、主人公寅(とら)さんの甥(おい)・満男が物語の中心となる。俳優吉岡秀隆さん(49)のイメージが強い役だが実は四代目。第一作で赤ん坊の満男を演じたのは下町の和菓子店の男の子だった。実家の店を継ぎ、作品とともに五十歳を迎えたもう一人の「満男」も、再び寅さんと会える喜びをかみしめている。  (加藤健太)

 初代の満男を演じたのは作品の舞台になった東京都葛飾区で和菓子店「川忠(かわちゅう)本店」を営む石川雅一(まさかず)さん(50)。柴又駅から歩いて十五分の店には、生後三カ月の石川さんが故・笠智衆さん演じる御前様に抱かれている写真が飾られている。

実家の和菓子店を継いだ石川雅一さん=東京都葛飾区で

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 寅さんの妹さくらと工場労働者の博の恋を描いた一九六九年の第一作の終盤、二人の赤ちゃんが登場する。そのロケで撮った写真だ。生まれたばかりの赤ちゃんを探していた山田洋次監督の目に留まったのが、近くに住んでいた石川さんだった。

 高校生の頃、アルバムに収められているこの写真に気付いた。「この赤ちゃん誰」。母百合子さん(77)は「あなたよ」と即答。

 「うそでしょ」。半信半疑で第一作を見直し、「これは自分だ」と確信した。だが、友人にはなかなか信じてもらえず、内気な性格もあって周りに言わなくなった。

 それから二十年以上が過ぎた二〇〇八年、テレビ番組の取材で「初代の満男を演じたのは…」と家族がぽろっと話したのが取り上げられ、初めてメディアに出た。反響の大きさに「もっと誇っていいんだ」と思い直し、最近ようやく自ら言えるようになった。

 高校卒業後、「ソニーに入りたい」という夢をかなえて充実したサラリーマン生活を送った。しかし数年後、父徳保(とくやす)さんが六十三歳で他界。明治五年創業の店の歴史を絶やすまいと、実家を継いだ。くしくも寅さんの実家「くるまや」と同じく団子が名物の和菓子店だった。「これも運命かな」と修業に打ち込んだ。

 心の支えにしてきたのが、スクリーンで奮闘する同年代の満男の姿だった。「気が弱くてどこか頼りない」という性格を自身に重ね合わせ、成長する満男に励まされてきた。前に出るタイプではないが、商店街の副会長や消防団員を進んで引き受け、街のために尽くしている。

 シリーズ五十作目となる新作「男はつらいよ お帰り寅さん」では、吉岡さんが演じる満男に中学三年生の娘がいる設定。「自分に娘が生まれたような気持ちになるのかな」。石川さんはそんな思いを膨らませながら鑑賞を楽しみにしている。

 配給元の松竹によると、満男役は第一作を石川さんが、第二〜二十六作を中村はやとさんと沖田康裕さんが、第二十七作以降を吉岡さんが演じている。

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