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【社会】

<地球異変 すぐそばの温暖化>気候危機 生命脅かす 「早急対策を」若者のうねり

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 世界各地で気候の異変が起きている。欧州を熱波が襲い、アフリカの大地が干上がる。インドでは大雨による洪水が繰り返され、大規模な火災がアマゾンの森林を焼く。氷河が解ける速度も増している。

 気候が、私たちの命や暮らしを脅かす存在になりつつある。国際労働機関(ILO)は暑さで労働生産性が低下すると、二〇三〇年には約二兆四千億ドル(約二百六十兆円)の経済的損失が生じると試算する。

 地球の平均気温は、産業革命から既に一度上がった。気温の上昇は人間による影響が大きい。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出するようになって、自然現象では起こり得ない速度で進んでいる。

 温室効果ガスを今のまま排出し続ければ、二一〇〇年に地球はどうなるのか。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は次のように描く。

 気温は最大四・八度上がり、氷河の40%が解ける。海面は最大一・一メートル上昇し、南太平洋にあるツバルなどの島国は水没。日本沿岸では高潮が相次ぎ、世界中で年間に起きる沿岸の浸水被害は現在の百〜千倍に。極端な高温や大雨、大雪に直面する機会も増す−。

 一五年に採択された温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」がことし、ようやく動きだした。ただ、各国の削減目標が実現したとしても「今世紀末までに産業革命以来の気温上昇を二度より十分低くし、一・五度にするよう努力する」という協定が掲げる目標達成は極めて難しい。

 「気候危機」−。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんはこう訴える。十六歳の少女の言葉に世界中の若者たちが敏感に反応した。早急な対策を求める動きが、地球規模のうねりになっている。 (渡辺聖子)

<気候変動に関する政府間パネル(IPCC)> 気候変動を科学的に調べるため、1988年に世界気象機関と国連環境計画が設立した組織。195の国・地域が参加する。気象学などの研究者らの協力を得て、最新の知見を反映した報告書を5〜7年ごとに作り、各国の政策決定者に基礎的情報を提供。2007年、地球温暖化対策を訴えてきたアル・ゴア元米副大統領とともにノーベル平和賞を受賞。現在21〜22年の第6次報告書の公表に向け、三つの作業部会で計90カ国の721人(18年4月発表)が執筆を進めている。

◆温暖化対策 利害対立の各国 足並みそろわず

 国際社会の地球温暖化に対する取り組みは、各国の利害が対立し、なかなか足並みがそろわない。

 一九八五年十月、国連環境計画の会議が「二十一世紀前半には地球の平均気温の上昇が人類未曽有の規模で起こり得る」と声明を発表。これを受け、八八年に設立されたIPCCが以降、気候変動研究の中心的な存在となる。

 九二年五月には、温室効果ガスの排出などに関する国際的な取り組みを定めた「気候変動枠組み条約」が採択され、九五年から毎年、同条約の締約国会議(COP)が開かれている。

 九七年十二月に京都であったCOP3では、先進国に二酸化炭素などの排出規制を課す「京都議定書」を採択。ただ、主要排出国では米国が離脱した他、中国、インドなどに排出削減義務がなく、課題を残した。

 パリ協定は、条約加盟国全てが参加する初の枠組みのはずだったが、米トランプ大統領が一九年十一月、国連に協定離脱を通告。同年十二月のCOP25では協定の実施ルール作りが難航し、一部合意できずに終わった。 (福岡範行)

◆日本は石炭火力新設を計画 国際批判の的に

 日本は世界有数の二酸化炭素の排出国である一方、石炭火力発電の新設計画を維持するなど排出削減策の遅れが目立ち、国際的な批判を浴びている。

 政府は二〇一六年五月に地球温暖化対策計画を定め、効率の良い発光ダイオード(LED)照明の普及などを促進。電力を再生可能エネルギー(再生エネ)だけで賄う企業の動きも後押しする。

 一九年六月にまとめた長期戦略では、「今世紀後半のできるだけ早い時期に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という目標を掲げた。だが、石炭火力発電からの脱却は明記せず、「依存度を可能な限り引き下げる」にとどめた。

 一方、海外では石炭火力発電を廃止し、太陽光発電などの再生エネの割合を増やすなどして「脱炭素」に転換する動きが広がる。

 昨年十二月のCOP25の閉幕までに、温室効果ガスの削減目標の引き上げや、五〇年までに排出を実質ゼロにするという長期目標を表明した国は七十以上あったが、日本は含まれていない。 (福岡範行)

 

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