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【社会】

江戸の技 支えた秘密道具 奈良 宮大工愛用の200点発見

木奥家が所蔵する、江戸時代の宮大工が使った道具=奈良市で

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 柄が大きくうねった「ちょうな」、蛇腹状の「のこぎり」、小さな「かんな」。江戸時代の宮大工が使った道具約200点が奈良市で見つかり、2019年に奈良県指定文化財になった。消耗品である大工道具がまとまって見つかるのは珍しく、使い込まれた“秘密道具”からは、匠(たくみ)の仕事ぶりや道具への愛着が伝わってくる。

 道具が見つかったのは、江戸時代に春日大社の造営を代々担った宮大工の子孫である木奥良彦さん方。明治維新後に大工を廃業していたが、一九九六年、自宅から木箱に入った大量の大工道具を発見。二〇一〇年にも土蔵から見つかり、奈良文化財研究所が調査した結果、計百九十四点の大半が江戸時代後期のものと判明した。

 大工道具に詳しい渡辺晶・建築技術史研究所所長によると「世界最高水準」と言われる日本の木造建築技術は十九世紀末ごろにピークを迎え、精巧に加工するため、大工は約百八十点もの道具一式をそろえていた。木奥家には、おけ職人が使うような「きり」などもあり、他の職人の道具も建築部材の加工に転用していたらしい。

 同じ種類の道具でも異なる形や大きさを使い分けていたとみられ、木材を削るかんなは四十五点にも上った。打撃痕や割れがあり、よく使い込まれている一方、摩耗した刃を小さなかんなに転用したり、補強や修理をしたりして、長く使い続けたことも分かった。

 渡辺所長によると、欧州では古い大工道具がコレクションとして大量に残っているが、日本では戦後、電動工具の普及とともに多くが姿を消した。一括した道具群としては国内ではこれまでに山口県防府市や神戸市、京都市で計約二百点(いずれも江戸時代)が見つかったのみで、木奥家のものは量や多様性で群を抜く。蛇腹状の刃が特徴的な逃挽鋸(にげひきのこ)など現在はほぼ使われない道具もあり、建築技術史の研究に役立つという。

 道具以外に、春日大社の式年造替に関する古文書や図面も残っており、計二百九十七点が県指定文化財となった。道具は通常、非公開。

 

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