東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

不忍池 外来種の脅威 都、20年以上放置 在来種すみかピンチ

水生生物の調査や外来種の駆除が20年以上行われていない不忍池=東京都台東区で(天田優里撮影)

写真

 東京都民の憩いの場、上野公園内の不忍池(しのばずのいけ)(台東区)で、外来種の繁殖や増加が懸念されている。管理する都は、池の水生生物の調査や外来種の駆除を二十年以上していない。昨年夏、繁殖力の強い外来種のカメの産卵も確認されており、専門家は「きちんと調査して対策をしないと、在来種のすみかが奪われる」と警鐘を鳴らす。 (天田優里)

 不忍池は、ハスに覆われた蓮池、上野動物園内にある鵜の池、ボート池の三つがあり、総面積は計約十一万二千平方メートル。江戸後期の書物「江戸名所図会」の絵に、池のハスやカメが描かれている。外国人観光客らにも人気のスポットだ。

 都によると、池の生物調査は水質改善を目的とする調査の一環として一九九〇、九一、九六年の夏に実施。委託業者が目視のほか網などを使い、生息する生物の種類や個体数を調べた。スッポンなど池にもともといた在来種の生息が確認された一方、九〇年の調査では見つからなかった外来種のミシシッピアカミミガメが九一年から、ブルーギルも九六年には確認された。

ミシシッピアカミミガメが不忍池周辺で産卵していたことを伝えるツイート=上野動物園公式アカウントから

写真

 九六年の調査を最後に、二十年以上の間、都は再調査や外来種の駆除などをしていない。都建設局公園建設課の担当者は「当時の調査は水質に問題がないか確認することが主な目的で、二〇〇五年に外来生物法が施行されるまで、外来種の駆除という考え方はなかった」と説明。新年度に池の生物調査を検討しているが、まだ予算はついていない。

 上野動物園の職員は昨年七月、池周辺でミシシッピアカミミガメの産卵を確認。ツイッターの公式アカウント上で「捨てないで増えちゃうよ」と呼び掛けた。園の広報担当者は「ミシシッピアカミミガメは池周辺でよく見かけ、珍しくない」と話している。

 都は近年、都立の井の頭公園(三鷹市、武蔵野市)や水元公園(葛飾区)などの池で、水質の改善や外来種の駆除などのため、池の水を抜く「かいぼり」を行っている。ただ、不忍池はハスなどの植物も多く、池の水を抜いての調査・保全は検討中という。

 外来生物対策に取り組む一般財団法人「自然環境研究センター」(墨田区)の高橋洋生主任研究員は不忍池の現状について「絶滅の恐れがある在来種のニホンイシガメが生息している可能性もある。ただ、何も対策をしなければ、外来種の数はどんどん増えていく可能性がある」と指摘。「産卵するメスを取り除くことが、数を減らすことにつながる。カメは冬は動きが鈍く、春から秋の活動性が高い時期に調査や対策をするのが効果的だ」と提案する。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報