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【社会】

首相の「桜を見る会の名簿廃棄は障害者職員」発言に抗議 「障害者をダシに使うな!」

内閣府職員(右端)に要請書を手渡す障害者団体の人たち=東京・永田町で

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「桜を見る会」招待者名簿のシュレッダー廃棄に関する安倍晋三首相の国会答弁を巡り、障害者団体が7日、首相宛てに抗議の申し入れを行った。「廃棄に時間がかかったのは障害がある職員が担当したため」と言わんばかりの発言に強い違和感を抱いたため。当事者の立場から「障害者をダシに使うな」と訴えた。(榊原崇仁)

◆「能力なし」の印象付けに違和感と不快感

 申し入れたのは、首都圏の障害者団体などでつくる「『骨格提言』の完全実現を求める大フォーラム実行委員会」の七人。東京・永田町の内閣府庁舎前で、首相の見解を問う要請書を職員に手渡した。

 問題視しているのは、昨年四月十三日に首相主催で開かれた「桜を見る会」の名簿に関する発言。内閣府は廃棄日を五月九日と説明しているが、野党議員が資料提供を求めた日だったため「資料を出さないために廃棄したのでは」という疑惑が強まった。

 これに対し、安倍首相は昨年十二月二日の参院本会議で「(廃棄用の)大型シュレッダーの予約を四月二十二日に行い、シュレッダーの空き状況や、担当である障害者雇用の短時間勤務職員の勤務時間などを調整した結果、使用予定日が五月九日となった」と答弁した。

 要請書は「強い違和感と不快感を抱いた」「このような形で(障害者を)引き合いに出すのか、というのが率直な思い」と批判。脳性まひのため車いすで来た横山晃久さん(65)は「障害者はずっと差別と抑圧を受けてきた。差別をなくしたいという私たちの願いを踏みにじった」と憤る。

 視覚障害がある古賀典夫さん(60)も「『廃棄が遅れたのは障害者が担当したから仕方がない』と言いたいのだろうが、私たちの受け止め方は全く違う。『障害者は能力がなく、非効率な人間』と突きつけられたように感じる」と語気を強めた。

◆首相が自分たちの言い訳に障害者を使うのは許し難い

 答弁が、障害者白書を出すなど障害者施策の総合調整を担う内閣府に関するものだったことも深刻に受けとめられている。視覚障害の有馬秀雄さん(66)は「政府が率先して『障害者はこの程度の仕事しかできない』と宣伝しているようなもの」と訴える。

 要請書は「内閣府は障害者として雇用した職員に対して、このようなシュレッダー作業を主要に行わせているのか」とも質問。古賀さんは「障害者には単純作業しか任せていないのかと疑っている。やりがいを感じなければ、早々にやめてしまわないか。私たちも他の人と協力し、一緒に仕事上の目標を達成したいし、一体感を味わいたい。そうした思いが中央省庁の障害者雇用でくまれているのか」と懸念を口にした。

 「こちら特報部」の取材に対し、内閣府は「担当者が不在で答えられない」と説明。実行委の要請書は一カ月以内の回答を求めているが、内閣官房内閣総務官室は「一般的な請願の一つとして受け取った。他の請願同様、回答義務が発生するものではないと考えている」とコメントするのみだ。

 疑問は深まるばかりだが、訪れた障害者らは、そもそも「四月二十二日に廃棄用のシュレッダーを予約した」という説明自体が「うそ」なのではないか、と口をそろえる。

古賀さんは「資料要求を受けて急いで廃棄したのを隠すために四月二十二日の話を作り出し、五月九日の廃棄とつじつまを合わせるため『障害者だから作業が遅れた』とダシに使ったのでは」と語る。有馬さんも「政府は私たちをどんな存在と考えているのか。自分たちの言い訳のために私たちを使ったとしたら許しがたい」と訴えた。

(2020年1月8日特報面に掲載)

 

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