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【社会】

責任能力 真っ向対立 相模原事件初公判

 初公判では、植松聖被告の刑事責任能力について検察、弁護側の意見が対立した。「完全責任能力があった」とする検察側に対し、弁護側は「薬物の影響により、良い悪いを判断する能力は無かった」と無罪を主張した。

 検察側の冒頭陳述によると、植松被告は施設で働き始めて二年半ほどたった二〇一五年夏から、「障害者は殺した方がいい」と考えるようになった。犯行を成し遂げるためにムエタイなど格闘技で体を鍛えた。犯行が報道された時に自分の主張を信じてもらうには、見た目がいい方が良いと考え、美容整形もしており、計画的な行動を取っていたと指摘した。大麻使用による精神状態への影響については、「障害者施設の勤務経験や見聞した社会情勢を踏まえて形成された特異な考えに基づいた犯行。大麻使用による影響は大きくなかった」と主張した。

 これに対し、弁護側は植松被告が大学入学後から脱法ハーブに手を出し、施設に勤務後は、事件直前まで大麻を週四、五回使用していたと明らかにした。

 弁護側は「障害者を『かわいい』と言っていた被告が薬物の影響で、人が変わってしまった」と「大麻精神病」などにより、心神喪失状態だったと主張。「被告の責任能力を十分に証明できなかったり、疑問があるときは無罪としなければいけない。慎重な判断をしてほしい」と、裁判員らに訴えた。 (土屋晴康)

◆裁判員、難しい判断

 甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)の話 争点は責任能力の有無や程度で、内容が専門的になるため、裁判員は難しい判断を迫られるのではないか。精神鑑定の結果はよほどの疑義がない限り尊重されるとする最高裁の判例がある。ただ、十九人も殺害する強い殺意は異常で、「意思疎通のできない障害者は殺した方が良い」との動機も理解不可能だ。心神喪失とは言えないまでも、心神耗弱のように判断される要素はある。裁判官は判決の内容を決める評議を進める際、判断基準について裁判員に丁寧に説明する必要がある。

 

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