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【社会】

15分で退廷「何と愚か」 指かみ切るような動き 相模原殺傷初公判

初公判後の記者会見で、法廷内での植松聖被告の様子を描いたメモを見せる尾野剛志さん=いずれも8日、横浜市中区で

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 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件の裁判員裁判が八日、横浜地裁で始まった。元施設職員の植松聖被告(29)は、被害者の遺族や家族らの前で手の指をかみ切るような動きをして係官に取り押さえられ、開廷からわずか十五分ほどで姿を消した。「何と愚かなのか」「初公判をぶち壊すパフォーマンス」。関係者らから批判や失望の声が上がった。 (杉戸祐子、福浦未乃理)

 「皆さまに深くおわびします」。起訴内容を認めた後、そう口にして頭を下げた直後だった。背中まで伸びた長い髪に、黒色のスーツ姿の植松被告は突然、右手の小指をかむような動きを見せ、係官四人に「やめなさい」と床に押さえ込まれた。裁判長が急きょ休廷を宣言し、廷内は騒然となった。一時間半後に再び開廷したが、被告の姿はなかった。弁護人は閉廷後、無言で法廷を後にした。

初公判後、記者会見する「津久井やまゆり園」の入倉かおる園長

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 「三年半前の事件の時と同じで、何と浅はかで愚かなのか」。最前列で傍聴していた同園の入倉かおる園長(62)は、閉廷後の記者会見で淡々とした口ぶりで振り返った。

 事件の五カ月前まで三年余り同園で働いていた植松被告については、問題行動を注意しても「すみません、すみません」と言うだけで、その場をやり過ごしていた印象が強い。法廷での態度を見て、「失礼な言い方だが」と前置きしながら「初公判の場にずっと身を置いている度胸もなく、ああいうことをするしかない愚かな人間だったのか」と批判を重ねた。

 被告が口にした謝罪の言葉も素直に受け取れない。「謝る言葉を発することで義務を果たせるなら謝るというふうに感じた。事件直後から(被害者の)家族には申し訳なかったと言っていた」とし、殺傷した被害者に向けた謝罪ではないと感じたことを明かした。

 「あ、パフォーマンスだな」。事件で重傷を負った尾野一矢さん(46)の父剛志(たかし)さん(76)は、一般の傍聴人とついたてで隔てられ、被害者や遺族のために用意された傍聴席にいた。植松被告の謝罪は聞こえなかったが、直後に口の方に手を運ぶ様子を見たという。

 「自殺をしようというふうに見せたのかな。自分が心神喪失、心神耗弱だと見せるため。初公判をぶち壊してやろうという気持ちもあったんじゃないか。ますます印象が悪くなるはずなのに理解できない」。近くに座っていた娘は「怖い」と漏らしたという。

 尾野さんは同園で働き始めたころの植松被告について「朗らかな好青年。今でも昔の優しい時の顔がちらちらする」と揺れる気持ちも明かしながら、「いつから、障害者は必要ないと考えが変わってきたのか、裁判の中で聞きたい」と話した。

 初公判直前に遺族が名前を公表した十九人の犠牲者の一人、美帆さん=当時(19)=の母親は、代理人から報告を受け、コメントを出した。「とても裁判に臨む態度ではない。残念です。この先の裁判がどうなるのか心配です」

 

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