東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

都がeスポーツ 期待と不安 初主催、きょうから大会

2018年8月、ジャカルタ・アジア大会で公開競技として行われた「eスポーツ」=共同

写真

 東京都は十一日と十二日、東京ビッグサイト(江東区)で、ゲームの腕を競う「eスポーツ」大会を初めて主催する。eスポーツは昨年、国民体育大会で実施されるなど急速に広がっており、都としても新たな成長産業とにらみ、育成に乗り出す形だ。一方、eスポーツの普及はゲーム依存症(ゲーム障害)を助長する懸念から、国や自治体が積極的に支援することには疑問の声もある。 (岡本太)

 都が十一日から開催するのは「東京eスポーツフェスタ」。パズルゲームの「パズドラ」や音楽ゲームの「太鼓の達人」など三種目で行われる。都の事業費は五千万円。ネット中継も行う。賞金はない。

 都が大会主催に乗り出す最大の理由はeスポーツの将来性だ。「海外では賞金総額が数十億円の大会もある。国内も今後大きな成長が見込まれ、新たな産業として期待できる」。都の担当者はこう話す。

 ゲーム情報誌「ファミ通」を発行するカドカワ・ゲーム・リンケージによると、eスポーツの国内市場規模はスポンサー料、チケット・グッズ販売などのイベントの直接的な売り上げだけで二〇一七年に三億七千万円。それが一年後の一八年には四十八億三千万円と十三倍に急成長した。二二年には九十九億円を超えるとみられるという。

 小池百合子都知事は「東京の稼ぐ力」を生む新産業の育成に力を入れており、eスポーツもその一つ。臨海部には関連企業の集積も目指す。経済産業省もeスポーツの支援を検討中で、公的な支援は広がりつつある。

 一方、心配されるのが日常生活が困難になるほどゲームにはまるゲーム依存症だ。若年層を中心に広がっているとみられ、eスポーツの普及がその傾向を深刻化させるとの懸念がある。

 ゲームやアルコールなどの依存症者の支援を行うNPO法人日本次世代育成支援協会の鷲津秀樹代表は、「依存症は現実社会で『寂しさ』などを抱えて逃避しているケースが多く、eスポーツに本気で取り組む人が依存症になるとは考えにくい」との見方を示す。ただゲームはアルコールや薬物と比べ垣根が低く、子どもへのリスクは大きい。行政がeスポーツ大会を主催してお墨付きを与えれば「依存する口実を与えることになりかねない」と指摘する。

 国内のゲーム依存対策は始まったばかりで、都もアルコール依存症などと同じ窓口で相談を受け付ける程度。具体的な対応について担当者は「今後の課題」と認める。鷲津代表は「行政はeスポーツの健全な発展のためにも、まず依存症の予防や対策に本腰を入れて取り組むべきだ」と話す。

<eスポーツ> エレクトロニック・スポーツの略。パソコンやテレビなど対戦型ゲームで選手が競う。2019年の茨城国体で文化プログラムとして実施された。18年のアジア大会(ジャカルタ)で公開競技になり、22年アジア大会(中国・杭州)では正式種目の採用が決まっている。

<ゲーム依存症> 世界保健機関(WHO)が昨年、正式な疾病に認定。ゲームに没頭し昼夜逆転や食事も取らないなど日常生活を送るのが困難な状態で、ゲームを取り上げられて暴力をふるうケースもある。eスポーツ先進国の韓国は00年以降、ゲーム依存症が深刻化し、子どもが深夜帯にオンラインゲームにアクセスするのを制限している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報