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【社会】

「先住権」アイヌが提訴へ サケ捕獲巡り浦幌協会

 北海道浦幌町の浦幌(うらほろ)アイヌ協会が、法律や道規則で禁じられた河川でのサケ捕獲は、先住民族が持つ権利「先住権」であり、法や規則が適用されないことの確認を国と北海道に求める訴訟を起こす方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。四月にも札幌地裁に提訴する。アイヌ民族による先住権の確認を求めた訴訟は初めて。

 先住権は先住民族の集団に認められた権利。国は昨年五月に施行した法律で、アイヌを初めて「先住民族」と明記したが、アイヌの集団は存在しないとして先住権を認めていない。訴訟では「集団とは何か」が大きな争点となりそうだ。

 二〇〇七年に国連が採択した「先住民族の権利宣言」はサケ捕獲権を集団が持つ権利として明記、日本も賛成している。「集団」は米先住民では各インディアントライブ(部族)が、アイヌの場合は地域集団を意味する「コタン」がそれぞれ相当する。

 浦幌アイヌ協会は、過去に浦幌町内に存在した複数のコタンの子孫の男女十三人(二十〜七十代)でつくる団体で、今回の訴訟では、十勝川下流域で自由にサケ漁をしていた先祖の権利を引き継ぐ集団として、先住権の存在を主張する方針だ。

 国は明治以降、和人(アイヌ以外の日本人)への同化政策を推進。サケ漁を禁じ、日本語を強制する一方、開拓の名の下、北海道各地のアイヌの土地を奪った結果、コタンは「消滅」、国は土地の権利やサケ捕獲権などを持つコタンは存在しないとの立場だ。

 サケ捕獲は水産資源保護法と北海道内水面漁業調整規則で禁じられているが、〇五年になって道は伝統的な儀式や漁法の伝承に限り、知事の許可を申請すれば捕獲できるよう規則を改正。昨年九月には紋別市のアイヌ男性が「先住民の権利だ」として無許可でサケを捕獲、道警の取り調べを受けた。

<サケ捕獲権> 2007年9月に採択され、日本も批准している国連先住民族権利宣言(前文と46条)の第26条に明記された権利。先住民族の集団は伝統的に所有・占有し、使用してきた資源、土地、領域に対して権利を持つ。また開発、管理する権利もあり、これらを一般的に「先住権」と呼んでいる。アイヌの場合はコタン(地域集団)が伝統的に捕獲し、使用してきたサケが資源の権利に該当する。宣言では国家は先住民族の慣習などを尊重して法的承認と保護を与えるとしている。

 

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