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【社会】

<取材ファイル>転落の危険、すぐそこに 白杖男性ひかれ死亡 JR日暮里駅

JR日暮里駅12番線ホーム(手前)。線路に転落した森政和さんが京浜東北線の列車にひかれ死亡した=12日、東京都荒川区で

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 白杖(はくじょう)を持った視覚障害のある男性(53)が十一日、ホームから転落し、京浜東北線の電車にひかれて死亡したJR日暮里駅(東京都荒川区)。現場の同線側にホームドアはなく、警視庁荒川署は歩行スペースの狭い階段脇から誤って転落したとみている。実際に歩いてみると、ほかにもホーム上にはエレベーター設置工事に伴う仮囲いがあり、狭くて危険な場所が目立った。 (土門哲雄)

 荒川署とJR東日本によると、会社員森政和さんは同日午前零時五十分ごろ、赤羽行き最終電車(十両編成)にひかれた。転落した場所は前から三両目に当たる八号車付近だった。

 事故当日の土曜昼すぎ、現場を歩くとJR常磐線や京成線、日暮里・舎人ライナーなどと乗り換える人たちがホームを行き交っていた。

 山手線側にはホームドアはあるが、並走する京浜東北線側にはなく、日中の時間帯だけ運行する快速電車がすぐそばを通過していった。体や荷物が接触したら、はね飛ばされるだろう。「危ない」と感じた。

 このホームには階段が四カ所あり、森さんが転落した階段脇の歩行スペースは幅約一・六メートル。ただ、点字ブロックの内側は大人一人が歩けるほどの幅しかなく、すれ違う時は緊張する。目の不自由な人が手すりと点字ブロック、白杖を頼りに歩くのはとても怖いはずだ。

 さらに、階段に近い八〜九号車付近のホーム中央には大きな仮囲いがあり、歩行スペースの狭い場所が約十六メートルにわたって続いていた。点字ブロックに沿ってホーム上に「立ち止まらずお進みください」と書かれ、仮囲いにも「ここは通路です。立ち止まらないでください!!」と、黄色い紙に黒と赤の文字で駅長名の注意書きが何枚も張られていた。

 仮囲いはエレベーター設置工事に伴うもので、二〇一八年六月からある。「京浜東北線側の通路は大変狭くなっており、スーツケースなどをお持ちのお客さまは、山手線側の通路を譲り合ってご利用ください」との注意書きもあった。

 JR東日本の広報担当者によると、仮囲いに近づくと「立ち止まらないでください」などとアナウンスが流れる仕組みだが、「この付近は大変混雑します」との注意書きもあり、目の不自由な人だけでなく利用者にとって危険な場所だ。

 駅員らは困っている人がいたら積極的に声をかける「声かけ・サポート」運動に取り組み、白杖を持っている人などの求めに応じて介助もしている。だが、今回は一人で歩いている森さんに気付かなかった。

 現場には今夏以降にホームドアが設置される予定だが、整備を待つだけでは事故は防げない。日暮里駅に限らず、どの駅でも周りの人たちの気配りや積極的な手助けが必要と感じた。

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