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【社会】

<阪神大震災25年>防災への学び 結んだ縁 被災の新婦、震災の年生まれの新郎 神戸で結婚式

阪神大震災から25年の結婚式で祝福を受ける岡本大二さんと前田緑さん=13日、神戸市中央区で

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 阪神大震災から二十五年になるのを前に、一組のカップルが十三日、神戸市内で結婚式を挙げた。震災の年に生まれた新郎と、子どもの頃に被災した新婦。震災を機に進んだ大学で出会い、災害ボランティアや防災活動に取り組んできた。「神戸と共に生き、次の世代に教訓のバトンを渡す担い手になりたい」。故郷の街で夫婦として新たな門出を誓った。 (横井武昭)

 二人は防災設備メーカーに勤める岡本大二(だいじ)さん(24)=大津市=と、神戸学院大職員の前田緑さん(33)=神戸市西区。

 震災のあった一九九五年一月十七日、前田さんは小学二年。自宅は大黒柱が割れて屋根瓦が落ちたが、家族は無事だった。「大きな被害を受けた人と比べると自分は被災者と言えるのか」と悩んだこともあったが、「いつか防災を学んで伝えたい」と強く思った。

 兵庫県立舞子高校で全国唯一の防災専門学科として発足した環境防災科の一期生となり、神戸学院大でも防災教育を専攻。教材づくりや語り部の出前授業に励んだ。現在は同大職員として、学生らと東日本大震災の被災地で人々と交流し、防災サークルを指導する。

 前田さんが同大助手だった時、防災教育ゼミの学生として出会ったのが岡本さんだった。震災の年の十一月に神戸市垂水区で生まれ、地震のことを学校や親から聞いて育ったが、どこか現実感がなかった。

 大学三年の時に熊本地震が起き、現地でがれき撤去や避難所支援のボランティアをした。「街が想像を絶する崩れ方で、自分が生まれる前の震災もこんなふうだったのかと初めて感じた」。地震対策で被害の少ない家もあり、震災を知らない世代でも備えの大切さを伝えたいと思った。

 結婚式は二人の思いがあふれた。前田さんの高校からの親友で、震災で母親を亡くした女性の子どもたちが指輪を運ぶ係を務めた。披露宴では二人が「震災の教訓や備えを伝えることが、未来の人の命を守ることにつながる」と思いを書いた手作りの新聞を配った。

 前田さんは「親友が『震災はつらいことばかりやったけど、今日二人の姿を見られてうれしい。いいこともあるんやね』と言葉をくれた」と涙ぐんだ。「あの日があったからこそ出会った大切な人がいる。それを大事に未来につなげたい」

 その隣で、岡本さんも「僕や友人は震災を知らない世代だけど、緑やその周りの方々は震災を経験している。今日のようにいろんな世代が一緒に関わって、皆でできることを考えたい。神戸で育ったことに誇りを持って」。二人の指先で誓いのリングが光った。

 

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