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【社会】

<阪神大震災25年>防災 言葉の壁超えて 日系ペルー人、スペイン語情報誌やネット放送

外国人向けのネット放送や防災ガイドで支援に取り組む大城ロクサナさん=神戸市長田区で

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 言葉の壁がある外国人は「災害弱者」になりやすい。神戸市須磨区の日系ペルー人、大城ロクサナさんは阪神大震災で被災し、避難生活で苦労を重ねた。その経験をもとに、在住外国人に向けた防災情報の発信に取り組んでいる。「まずは自分で身を守れるようになること。私の経験を仲間のために使いたい」と話す。 (横井武昭)

 ロクサナさんは、スペイン語圏出身者の支援団体「ひょうごラテンコミュニティ」(同市長田区)の代表。スペイン語の生活情報誌を毎月発行し、母語教室や生活相談も開く。多言語放送をする地元のインターネット放送「FMわぃわぃ」で毎週スペイン語の番組も制作している。

 「仲間の力になりたい」。原点は阪神大震災だ。ペルー人の夫の勤め先だった社員寮で震災に遭った。ドアを必死に蹴って外へ出た。「日本語が分からず、何かの放送でツナミという言葉だけ聞こえた。津波が来るのかとパニックになり泣き叫んだ」

 住民の案内で避難所の中学校にたどり着いたものの、「外国人なのでそこにいる権利があるのかさえ分からなかった」。追い出されたら困ると思い、当初は配られた弁当も取りに並べなかった。結局、車の中で二週間寝泊まりした。

 帰国を考えたが、避難所で皆が支え合う姿を見て「日本に残って頑張ろうと思った」。当時小学生だった子どものことを市民団体に相談するうち、言葉や文化の違いで悩む仲間の多さに気付いた。二〇〇〇年に同団体を設立し、外国人支援を始めた。

 だが、一一年の東日本大震災で再び現実を突きつけられた。原発事故や津波におびえて帰国したり、パニックで電話相談を寄せたりする仲間が相次いだ。「阪神大震災から十何年たつのに、私たちは全く準備ができていなかった」

 一八年にスペイン語の防災ガイドを発行。家具の転倒防止や避難所をイラストで解説し、二十七都道府県に配布した。

 昨秋の台風19号では、FMわぃわぃの番組で進路や被害予測を伝え、日本の天気情報でよく出る「関東」や「東海」などの地方の場所を地図で説明した。反響は大きく、団体のフェイスブックは南米出身者の感謝の書き込みであふれた。

 FMわぃわぃを運営するNPO法人の金千秋代表理事は「ロクサナさんのように当事者が発信し、定住者の力を上げることが大事。必要な情報を手にし行動すれば、外国人が助ける側に回れる。地域で防災の担い手になれる」と語る。

 

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