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【社会】

<検証 IR汚職>(中)実った捜査 何だ この200万円は

2017年8月4日、500ドットコムが那覇市で開いたIRシンポジウムで講演する秋元司容疑者=IR専門メディアカジノIRジャパン提供

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 「なんだ、この二百万は」。昨年秋、衆院議員の秋元司容疑者(48)=東京15区、自民党を離党=の内偵捜査を進めていた東京地検特捜部の検事は、ある会社の口座記録に目を留めた。

 在宅起訴された元政策秘書の豊嶋晃弘被告(41)が立ち上げ、秋元容疑者も一時顧問を務めた東京都内の芸能関係会社「ATエンタープライズ」。普段は数十万円程度の入出金しかないが、二〇一七年九月に二百万円もの入金記録があった。

 送り主は沖縄県浦添市のコンサルタント会社で、後に贈賄容疑で逮捕される中国企業「500ドットコム」元顧問の仲里勝憲容疑者(47)が代表を務めていた。

 特捜部はAT社を「秋元氏の財布」とみていた。取引のなかったコンサル会社から、なぜまとまった額の入金があるのか−。秋元容疑者の行動を探ると、その前月に那覇市であったIRのシンポジウムで講演していたことが分かった。

 主催は500コム。講演の対価なら正面から渡せばいいが、政治資金収支報告書には一切の記載がない。折しもシンポの三日後、秋元容疑者はIR担当の内閣府副大臣に就任している。日本でのIR参入を目指す500コムが、「財布」の会社を通じて裏で渡した可能性が浮上した。

 「カネの流れを洗えば、きっと何か出てくるはずだ」。粉飾決算したとされる企業からの献金や闇パーティー、大手メーカー社長への借金取り立て代行など、秋元容疑者には数々の疑惑が付きまとい、特捜部は一八年秋ごろから秘密裏に捜査していた。

 特捜部がたどり着いた仲里容疑者は、元浦添市議だ。秋元容疑者は参院比例で〇四年に国政入りすると、かつて仕えた小林興起衆院議員(当時)の後援会があった浦添市に、自身も後援会を設立。その縁で仲里容疑者と知り合った。

 「まじめで、精神的に強くない」と周囲が評する仲里容疑者は、昨年十一月に特捜部から任意で事情聴取された際、秋元容疑者への資金提供をすぐに認めたとされる。提供を示すメモも提出し、捜査は大きく進展した。

 昨年十二月上旬、海外を飛び回るブローカーで500コム元顧問の紺野昌彦容疑者(48)の姿が、那覇空港にあった。

 中国から帰国した紺野容疑者を出迎えたのは、特捜部の七人の係官。「脱税かスパイ罪の捜査かと思った」と後に知人に語った紺野容疑者は、そのまま羽田空港から、東京・京橋のビジネスホテルへ連れて行かれた。

 「僕、実は特捜に軟禁されてんねん。連日、事情聴取ですわ」。紺野容疑者は知人に、あっけらかんと話し、こう続けたという。「特捜はすべて知っとる。生きた心地がせんけど、開き直るしかしゃあない。秋元先生にカネを渡したことも全部言うてまったわ」

 

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