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【社会】

令和初の歌会始 皇后さま17年ぶり出席 お題は「望」

天皇、皇后両陛下、皇族方が出席されて行われた「歌会始の儀」=16日午前、宮殿・松の間で(代表撮影)

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 令和で初めてとなる新春恒例の「歌会始の儀」が十六日、皇居・宮殿「松の間」で開かれた。天皇、皇后両陛下や皇族、一般の入選者らの歌が、独特の節回しで披露された。今回の題は「望」。両陛下の歌には、若い世代への思いが込められた。皇后さまは療養生活に入る前の二〇〇三年以来、十七年ぶりに出席された。

 陛下は「学舎(まなびや)にひびかふ子らの弾む声さやけくあれとひたすら望む」と詠んだ。昨年六月、都内の保育園を訪問。同十一月には長女愛子さまが通う学習院女子高等科の文化祭にも足を運んだ。そうした訪問の度に、子どもたちの将来が明るくあってほしいと願う気持ちを歌にした。

 皇后さまは「災ひより立ち上がらむとする人に若きらの力希望もたらす」。これまで訪れた自然災害の被災地での若いボランティアの活躍を頼もしく思う気持ちを表現した。昨年末には台風19号などで被災した宮城県と福島県を陛下と訪問。高校生ボランティアとも会話を交わしていた。

 皇嗣(こうし)秋篠宮さまは、かつて昭和天皇に誘われて、那須御用邸の屋上から星空を見た時の心情をつづった。紀子さまは東日本大震災の復興状況の視察などで訪問した岩手県釜石市で見た、子どもたちが育てたヒマワリの鉢を題材にした。今年まで結婚関連行事が延期されている長女眞子さまは「望月に月の兎が棲まふかと思ふ心を持ちつぎゆかな」と、月の伝承を取り上げ、豊かな想像力を持ち続けることへの憧れを表現した。

 一般応募の選考対象は一万五千三百二十四首。儀式には、一般の入選者十人も招かれた。陛下が特別に招いて歌を披露する召人(めしうど)は歌人栗木京子さん(65)が務めた。

 安倍晋三首相や各界の代表者のほか、新元号「令和」の考案者、中西進元大阪女子大学長も傍聴した。

◇天皇陛下 学舎(まなびや)にひびかふ子らの弾む声さやけくあれとひたすら望む

◇皇后さま 災ひより立ち上がらむとする人に若きらの力希望もたらす

 天皇陛下と皇族、召人、選者の歌は次の通り。(仮名遣いと振り仮名は原文のまま)

 ▽天皇陛下

 学舎(まなびや)にひびかふ子らの弾む声さやけくあれとひたすら望む

 ▽皇后さま

 災ひより立ち上がらむとする人に若きらの力希望もたらす

 ▽皇嗣秋篠宮さま

 祖父宮(おほぢみや)と望みし那須の高処(たかど)より煌めく銀河に心躍らす

 ▽秋篠宮妃紀子さま

 高台に移れる校舎のきざはしに子らの咲かせし向日葵(ひまはり)望む

 ▽秋篠宮家長女眞子さま

 望月に月の兎が棲まふかと思ふ心を持ちつぎゆかな

 ▽秋篠宮家次女佳子さま

 六年間歩きつづけし通学路三笠山(みかさやま)より望みてたどる

 ▽常陸宮妃華子さま

 ご即位の儀式に望みいにしへの装ひまとひ背(せ)なを正(ただ)せり

 ▽寛仁親王妃信子さま

 雪襞(ゆきひだ)をさやかに望む富士愛(め)でて平和な御代のはじまりにあふ

 ▽寛仁親王長女彬子さま

 言の葉のたゆたふ湖の水際から漕ぎ出ださむと望月の舟

 ▽高円宮妃久子さま

 サッカーに関はりたれば五輪への出場国をひた待ち望む

 ▽高円宮家長女承子さま

 初めての展望台にはしやぐ子の父母とつなぎあふ小さな両手

 ▽召人

 栗木京子さん

 観覧車ゆふべの空をめぐりをりこれからかなふ望み灯して

 ▽選者

 篠弘さん

 書き上げし稿(かう)祈りてはファックスす望外なことを近頃はじむ

 三枝昂之さん

 丘陵に街に暮らしの歩をとめて人は仰げり望月立てり

 永田和宏さん

 なだらかな比叡の肩を照らしつつ昇る幾望(きばう)の、はた既望(きばう)の月

 今野寿美さん

 港から汽笛とどけば手にとれる望遠鏡なり蝶々夫人も

 内藤明さん

 新しき靴履きて立つ街角にわが望郷の方位をさがす

 ▽入選者

 三重県 森紀子さん(75)

 茶刈機のエンジン音は響(ひび)かひて彼方に望む春の伊勢湾

 埼玉県 若山巌さん(74)

 百アールの田圃アートの出来映えを眺望するに櫓を組みぬ

 東京都 保立牧子さん(70)

 創薬の望みを託す天空の「きぼう」の軌道に国境はなき

 福岡県 石井信男さん(65)

 息を止め望遠鏡で本物の土星の環を見た夏の校庭

 福岡県 粟屋融子さん(61)

 ランドセルは海渡りゆくアフガンの子らの希望を抱き留むるため

 長崎県 柴山与志朗さん(60)

 望(もち)の日は漁師の父が家にゐて家族四人で夕餉を囲む

 山形県 村上秀夫さん(56)

 それぞれに月傾けて子どもらは墨くろぐろと「望」の字を書く

 神奈川県 森教子さん(49)

 今よりも人々の文字うつくしき平和を望む戦時下の日記

 大阪府 土田真弓さん(33)

 眺望はどうだ晩夏に鳴く蝉を咥へて高く高く飛ぶ鳥

 新潟県 篠田朱里さん(17)

 助手席で進路希望を話す時母は静かにラジオを消した

◆来年のお題「実」

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 来年の歌会始の題が「実」に決まり、宮内庁は十六日、応募要領を発表した。題を詠み込んだ自作の短歌で一人一首とし、未発表のものに限る。「実験」「果実」などの熟語でも「実る」といった訓読でも可能。応募は九月三十日の消印まで有効。

 書式は習字用の半紙を横長に用い、毛筆で縦書きする。海外から応募の場合は半紙サイズの紙で、毛筆でなくてもよい。

 病気や障害で難しい場合は、代筆やパソコンなどの印字でもよく、理由や代筆者の住所と氏名を別紙で添える。視覚障害のある人は点字での応募もできる。

 宛先は「郵便番号100−8111 宮内庁」とし、封筒に「詠進歌」と書き添える。詳細は宮内庁のホームページで紹介している。

 

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