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【社会】

降らない、凍らない… 記録的暖冬に全国から悲鳴上がる

昨年12月下旬、ゲレンデに向かって「雪乞い」をするスキー場関係者=愛知県豊根村坂宇場の茶臼山高原で

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 東日本(北陸・関東甲信・東海地方)の1月15日までの平均気温は、平年比プラス2.2度。このままの数値が続くと1月は1989年の過去最高記録に並ぶ。記録的暖冬に、スキー場などから悲鳴が上がり、気象の専門家は「地球温暖化のせいだ」と警鐘を鳴らす。 (片山夏子)

◆東京はまだ冬日なし

 気象庁天気相談所によると、東京は今冬、初氷を未観測で、過去最も遅かった二〇一六年の一月十三日を超え、記録を更新中。最低気温が零度未満の冬日もなく、このまま氷点下がないと〇九年以来になる。

 同庁気候情報課の竹川元章予報官は全国的に暖冬が続く理由を「上空の偏西風の北への蛇行が続き、南の暖かい空気が入ってきている。一月は特に北極の寒気が動かず極端な高温になった」と説明する。

 今後一カ月は今の状態が基本的には続き、降雪量も少ない。北日本は雪は少ないものの気温は平年並み。東日本や西日本は山間部など局所的に降雪があるが、平野部を中心にほとんど降らない状態が続く。

◆長瀞の天然氷も危機

 これほどの暖冬だから影響は大きい。例えば氷上ワカサギ釣り。

 福島県北塩原村にある桧原湖には毎年約六万人が訪れるが、湖が凍っていない。「例年ならもう凍っている時期。毎年気温は氷点下になるが今、日中は五、六度ある感じ。ここに来て二十七年になるが、こんな年はない」と話すのは近くの宿泊施設「おやど風来坊」のオーナー鈴木一美さん(59)。同じくワカサギ釣りスポットの長野県飯綱町の霊仙寺湖も、凍っておらず、飯綱町観光協会の担当者は「一月下旬にはとてもオープンできない」と話す。

 氷といえば、かき氷で有名な埼玉県長瀞町の天然氷もできていない。阿左美冷蔵宝登山道店広報担当の阿左美亮二さんは「例年一月から二月上旬に町内の沢の上流域で採氷するが、今年は採れていない。採れなければ、普通の氷で代替していくしかない」と話した。

◆暖房機器は早々とセールに

暖冬で山肌がむき出しのままの七尾コロサスキー場=石川県七尾市多根町で

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 もちろんスキー場も厳しい。天気情報提供会社「ウェザーニューズ」によると、取材した全国約四百カ所のスキー場のうち八日時点で滑走可能なのは三分の二にとどまっている。

 新潟県湯沢町の湯沢パークスキー場も十五日夜から一五センチほど雪が積もり、積雪三〇センチになったが、それまでは積雪が一〇〜一五センチと例年の十分の一以下。十一コース中、滑走可能は三コースだけだ。湯沢パークホテルの支配人柴崎啓介さん(51)は「宿泊客は昨年比の25%減。スキー客は半分以下と厳しい。なにしろ雪がないことには」と嘆く。

 暖房機器の売れ行きもよくない。ビックカメラ広報・IR部の高田雅人主任によれば、オイルヒーターなど部分的に暖かくする暖房機器は昨年同期比10%増だが、暖冬により部屋全体を暖めるエアコンが例年の二、三割減。「暖冬を見越して昨年末から、家電の暖房機器が売れ残らないように特価で売り出している」

◆温暖化にもっと危機意識を

 もちろん多くの人にとって、寒さが厳しくないのはありがたいが、東京大の山本良一名誉教授(環境経営学)は「地球温暖化の進行が、この暖冬につながっている。オーストラリアでの広域な山林火災も温暖化の影響が大きい」と指摘。今回の暖冬を機に、日本も温暖化問題にもっと真剣に取り組むべきだと強調する。

「長野県白馬村では高校生が村長に『気候非常事態宣言』を出すように迫り、実現させた。同宣言が七自治体で出されるなど、日本でもようやく危機意識が出てきた。今年は世界にとって、引き返せるかどうか、岐路の年。地球はぎりぎりの状態まで来ている」

 

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