東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

センター試験、今年で幕 受験50万人超の重み理解を

写真

◆山本広基理事長に聞く

 十八日に始まった大学入試センター試験は、三十一年目の今年で最後となる。基礎学力を測る試験として評価される一方、入試改革の議論では「知識偏重の一点刻みの入試」と批判された。来年から大学入学共通テストが始まる。五十万人以上が受験する大規模入試をどうするべきか、運営団体「大学入試センター」の山本広基理事長に聞いた。 (柏崎智子、芦原千晶)

 −センター試験の評価は。

 五十万人以上の受験生の幅広い学力を、難問・奇問でなく高校の学習の基礎を問う問題によって識別できる、良くできた試験。国民の公共財と言ってよい。一教科につき十数人から三十人弱の大学の先生が、一年間に延べ四、五十日集まり作問してきた積み重ねだ。毎年、実施後に受ける外部評価では、九十数%が「良問」と評価されている。

 −「知識偏重」だとの批判がある。

 誤解だ。全問マークシート式なのでクイズのようなイメージを持たれがちだが、学習指導要領が求める思考力、判断力、表現力を測る工夫もされ、よく考えないと正解できない。

 「一点刻み」と批判されるが、到達度を測る学力調査や、ある水準をクリアすれば合格する資格試験と違い、入試は「上位何人まで」と定員がある競争試験。一点刻みで結果を大学に提供するのは当然だ。大学は、ほかの要素を加味して一点刻みでない合否決定もできる。

 −問題はなかったか。

 肥大化し、運営が複雑になってきた。前身の共通一次試験は、国公立大の受験生のみが五教科七科目(途中から五科目)を受けた。センター試験は私立大も参加し、大学が指定する科目だけ受験できるようになった。科目数も三十に拡大した。二日間で実施する日程や運営がきつい。

 受験者も増えて多様化し、学力レベルの層が広がった。そのため「易しすぎる」「難しすぎる」の両方の意見が寄せられる。私見だが、科目数を整理し、一定の学力が必要な大学用と、もう少し難易度の低いものの二種類の試験を作ることも一案ではないか。

 −後継の共通テストは、公平・公正性に問題があるとの指摘を受け英語民間検定試験や国語・数学の記述式問題の導入が見送られた。文科省はあり方を検討し直す会議を設置したが、どんな議論を期待するか。

 議論の前提として理解を求めたいのは、センターが運営する試験は、五十万人以上の基礎学力を問う共通試験だということ。「あった方が理想」という要素を何でもかんでも盛り込めば破綻する。本当に必要なものは各大学の個別試験でやってほしい。

 この職に就いて七年目だが、驚かされることが多かった。例えば、重篤な障害者が受験する場合、事前に職員が出向いて試験方法を確認する。これまで大きなトラブルがなかったのは、選抜試験の重みを認識し公平・公正性に細心の注意を払ったからだ。

<大学入試センター試験> 受験生の基礎的学習の達成の程度を判定するため、共通1次試験の後継として1990年1月に始まった。全問マークシート式で、短時間で採点できる。国公立大受験生のみが受験した共通1次と異なり、受験教科・科目を各大学が自由に指定するアラカルト方式とし、私立大や短大にも門戸を開いた。

 参加大学は初回の148校から年々増加し、今年は858校に。私立大の利用が増えた背景には、少子化の中、受験生を獲得する狙いや、大学独自で作問する負担の軽減もある。受験者数も初回の40万8000人から増え、直近5年間は53万〜55万人台で推移。高校卒業見込み者の約45%が受験している。

<やまもと・ひろき> 1947年、大阪府生まれ。島根大教授、同学長、熊本大監事を経て2013年から現職。専門は農薬環境科学。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報