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【社会】

浅草スマートボール打ち止めへ 愛されて70年余 「三松館」老朽化 26日最終日

閉店の知らせを聞いて訪れた人々らに応対する江川明智さん(右)=いずれも東京都台東区で

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 温泉場でよく見かける、玉をはじいて盤に開いた穴に入れて遊ぶスマートボール。東京・浅草(台東区)にある専門店「三松館(みまつかん)スマートボール」が、26日に閉店する。外国人観光客にも人気で客足は順調だったが、建物が老朽化し、70年を超える歴史に幕を閉じることに。店主の江川明智(あきのり)さん(71)は「都内唯一の専門店となっていた。最後の一瞬までお客さんに楽しんでもらいたい」と接客にいそしむ。 (天田優里、写真も)

 十八日の昼すぎ。土、日曜、祝日の午後一〜七時だけ営業する三松館の入り口前に、開店を待つ家族連れらが集まっていた。「これまでのご愛顧は感謝しきれません」と、閉店を告げる紙が張られたシャッターが開くと、好きな台の前に座り、盤の上の青い玉をはじいていた。

 三十分ほどで店は満員に。久しぶりに店に来て閉店を知ったという愛知県知立市の会社員浜辺洋伸さん(39)は「近くの向島で生まれ、幼いころから遊びに来ていた。最後に良い思い出になったけれど、閉店は寂しい」と名残惜しそうだ。

 創業は戦後の一九四八年。明智さんは二代目で、妻の実希さん(68)と二人三脚でやってきた。

60年以上使い続けているスマートボールの台

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 スマートボールは、くぎが林立する盤の上でレバーを使って玉をはじき、穴に入れるなどして玉を増やすゲーム。手持ちの玉が無くなると終了となる。店の料金は、昔と変わらず七十五玉で三百円。六十台ある遊戯台は、どれも六十年以上使い続けている年代物。修理は明智さんが手掛けてきた。

 昭和三十年代にブームとなったが、客足が伸び悩んだ時期も。最近は浅草を訪れる外国人客が増加した。しかし、建物の老朽化が進み、耐震面に課題が出てきた。さらに「建物とぼくは同い年。体にもガタがきている」と自身の年齢も考え、今月末での閉店を決めた。建物は取り壊す予定で、遊戯台は高齢者施設などへの寄贈を検討している。

 閉店の知らせは会員制交流サイト(SNS)や口コミで広がった。店に置かれた「皆様(みなさま)との想(おも)い出ノート」には、「浅草といえばスマートボール。最後に自分の子どもに体験させることができてよかった」「寂しくなるけど、今まで本当にありがとう」という客からのメッセージが寄せられている。

 「店に来るときに泣いていた子どもが、スマートボールで遊んで笑顔になって帰って行く姿を見るのが一番うれしかった」と明智さん。残る営業日は二十五、二十六日のみ。「お客さんに楽しんでもらえるよう、掃除と整備をしてお待ちしております」。笑顔で、最後の日を迎えるつもりだ。

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