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【社会】

横田騒音 差し止め認めず 東京高裁判決 賠償、過去被害分のみ

第9次横田基地公害訴訟の判決を受け、垂れ幕を掲げる原告側弁護士ら。右から3人目は原告団の青山秀雄副団長=23日午後4時19分、東京・霞が関の東京高裁前で

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 米軍横田基地(東京都福生市など)の周辺住民百四十四人が米軍機などの夜間・早朝の飛行差し止めと騒音被害の損害賠償を求めた「第九次横田基地公害訴訟」の控訴審判決が二十三日、東京高裁であり、一審東京地裁立川支部判決に続き、飛行差し止めを認めなかった。損害賠償は一審から約千六百万円増額し、過去の被害分として国に約一億一千二百万円の支払いを命じた。騒音被害がなくなるまでの将来分の賠償は再び認めなかった。原告は上告する方針。 

 阿部潤裁判長は判決理由で、米軍機の飛行差し止めについて「日本に第三者(米軍)の行為の差し止めを求めることはできない」と一審と同様に退けた。

 原告側は控訴審で、一審結審後の二〇一八年十月に正式配備された垂直離着陸輸送機オスプレイによる低周波音の被害も訴えたが、判決は「オスプレイによって低周波音が発生しているとは認められない」と判断した。

 騒音被害は、騒音レベルを示す「うるささ指数(W値)」が七五以上の原告について、「日常生活の妨害や心理的苦痛など耐えるべき限度を超える違法な権利侵害がある」と認定。一審終結時からの被害分を加算し、賠償を命じた。住宅の防音工事をした原告の減額幅は一律10%とし、最大30%としていた一審判決を見直した。

 一方で将来分の被害は認めず、W値七五未満の原告の請求は「我慢の限度を超える被害ではない」と退けた。

◆「心ない判決」怒り

 米軍機の早朝・夜間の飛行差し止め請求を再び退け、一審判決をほぼ踏襲する東京高裁の判決に、原告らは怒りをあらわにした。

 「まるで判を押したような判決だ。裁判所は住民の苦しみに向き合っていない」。判決の言い渡し後、原告団副団長の青山秀雄さん(71)は語気を強めた。

 東京都昭島市の自宅は横田基地から約五百メートル。五十年以上騒音に悩まされており、オスプレイが配備されると苦痛は増した。

 低音で全身に覆いかぶさってくるような圧迫感。二重窓にして防音対策を取っているが、オスプレイが飛ぶと閉め切った窓がガタガタと揺れる。「ひどい振動なんです。夜間飛行も多くて、全然気が休まらない」と顔をしかめた。

 各地の米軍基地の公害訴訟では「米軍の活動に日本の民事裁判権は及ばない」とする最高裁判例に基づき、飛行差し止めを認めない判断が続く。青山さんは「声を上げ続けなければ現状を変えられない」と最高裁まで争う決意を口にした。

 判決後、高裁前では原告らが口々に判決内容を批判した。

 団長の福本道夫さん(70)=昭島市=は「裁判官は被害者の声も聞かずに判断した。許せない」と非難。原告の中里博文さん(64)=立川市=は「今日もすごい騒音だった。現地を踏めば、こんな心無い判決にはならないはずだ」と肩を落とした。 

  (小野沢健太)

 

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